un capodoglio d'avorio
2002年07月31日(水) |
野島伸司「この世の果て」1 |
1993年の初夏、まさに一世を風靡したドラマが放送される。 平均視聴率は28.4%、そして・・・ 瞬間最高視聴率37.8%! この数字は現在に至るまで未だ破られていない数字だ。 「ひとつ屋根の下」、このドラマで野島伸司は天下を獲った。 世間は彼の次に放つ物語に注視する、そしてそれは意外なベクトルをつけられたものだった。
1994年1月〜3月にかけて世に問われたのが「この世の果て」。 前作と同じフジ系での放送で、世間はこぞってこのドラマについていくと思われた、が。 平均視聴率は22.9%、今の水準から言えばとんでもなくいい数字だが (現在ドラマはそこまで数字がのびない)、 なにせ天下を獲った作家、並の作家ではないのだ、野島は。 なのにいきなり、この6ポイント近くのダウンは、当時の状況を鑑みて普通じゃない。 理由は簡単、シンプルやな。 あまりにも暗くて悲惨だからだ、特に第五話以降・・・。
「野島伸司、嫌い」というひとは割とよくいる。 その気持ちはとてもよくわかる。 たぶんでも、彼/彼女が嫌悪するところは、どかが好きなところとそれほどずれてはこない。
どかはでも、好き。
キャストが、実は凄い、凄すぎ。 主演の二人が三上博史と鈴木保奈美(そもそもこの二人からして好き嫌いが分かれる)! 準主演の二人が桜井幸子と豊川悦司(でもたぶんこの二人はみんな好き)! 桜井幸子は野島職人だから、もう、本当に生き生きとプロットの中を泳いでいる、安心感。 鈴木保奈美も「東京ラブストーリー」以来の当たり役だとどかは思う、 このくらい濃いプロットでないときっとこの人はバランスがとれない。 そしてトヨエツ。 トヨエツは絶対、主役よりも少し脇に下がった方がカッコいい、というのがどかの持論。 どセンターでピンを背負うには少し薄いんだと思う、顔ではなく演技が。 でも脇についたときはもう、格好良くて格好良くて、きぅ。 そして三上! もう、言うことなし。 野島の圧倒的なセリフとプロットの強さに負けない力でブラウン管の中で踏ん張れるひと。 他の役者(例えばジャニーズ)が、 脚本の強さからオフセットして細かい表情や小手先のごまかしに逃げるところ、 彼は真っ向からそのドラマに対峙していく。 だから「野島伸司的大展開を見せて奈落にロープなしバンジーを決め込んだら、 あらあら底はハリ剣山ぐっさり上から隕石どっかん」な第五話以降も(ひどい例えだ)、 視聴者は一緒に落ちていくことが出来たのだ。 三上博史という役者個人の演技が信頼できたからだ。
<続く>
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