un capodoglio d'avorio
2002年06月23日(日) |
つか「熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン」1 |
STARRING Hiroshi ABE !! 「熱海殺人事件・モンテカルロイリュージョン2002」@紀伊国屋ホール。 マチネの当日券を狙って並んだ、合宿のせいで行けなくなったチケ。 でもこれは絶対行っとかなあかん・・・そんな予感、ううん確信があった、果たしてそれは正解だった! 阿部寛、文句なしのつかヒーローになった!
つかこうへいの代表作「熱海殺人事件」にはいくつかバージョンがある。 女・木村伝兵衛の「売春捜査官」、マザコン木村伝兵衛の「サイコパス」などがあるが、 「モンテカルロイリュージョン」はその中でももっともイロモノ度が高い、 バイセクシュアル木村伝兵衛で、あて書き10割のつかが阿部寛のために書き下ろした脚本。 内容は熱海姫浜の波打ち際で起きた殺人事件の容疑者を追いつめていく捜査室でのバトル。 これが「熱海」の基本構造で付加価値がバージョンによって異なってくるが「モンテ」では、 木村伝兵衛部長刑事(棒高跳び)と容疑者・大山金太郎(棒高跳び)、 そして水野朋子婦人警官(女子ハードル)の三人がそれぞれ、 陸上競技のオリンピック選手だったという伏線が張られる。
「モンテ」の初演は1993年、どかは再々演を98年に観た、忘れもしないあれはパルコ劇場。 あのときもいい舞台だった。 阿部・伝兵衛を脇についた最高のつか役者がフォローする構図 (最高のつか役者=山本亨・山崎銀之丞・平栗あつみ)。 2002年、再び舞台のセンターにピンを背負ってたつ彼を支えるために集まったのは、この三人: 1「最後のつか役者」春田純一←この人はつかの舞台に関して言えば絶対に信頼できる。 2「北区のホープ」小川岳男←芸の幅が若干狭いがツボにはまるとかなりいい。 3「アイドル未満役者未満」内田有紀←つか芝居挑戦三度目の夏、もういいわけできない。
当初のどか予想では春田さんが舞台を引っ張り、小川さんがそれをフォローし、 阿部ちゃんが必死に食らいつく、内田有紀はその辺でふらふら・・・ と、思っていたら、ちょっと奥さん!
阿部寛、ブレイク! 始まって20分、どかは目の前で何が起きようとしているのか、にわかに信じがたかった。 そこにいる木村伝兵衛のリアリティは、銀之丞や筧利夫のそれと同等やった。 セリフはあんまし変わらない、他の役者はむしろレベルダウン、なのにこのリアリティ。 ひとえに阿部ちゃんの狂気にのみ拠る結果だ。
・・・あの春田純一が阿部に引きずられている。 内田有紀は阿部に舞台の「華」を任せられるせいか力が抜けてまあまあいい。 小川さんは阿部ちゃんと春田さんの胸を借りて精一杯をぶつかるいい感じ。 そう、中心は阿部なのだ。 太陽は阿部であくまで他の三人はその周囲を移動する惑星。
「TRICK」などのテレビドラマで ブレイクしてオフビートな芸の引き出しが増えたなー。 って思ったけど、よもや舞台で通用する、劇場を包み込む狂気を育んでたとは思わんやん? 劇中、前半の導入から後半の展開部にかけてのつなぎ目、転換の契機に「抱きしめてTONIGHT」に入る。 4年前、この歌は銀之丞と山本亨が脇につき三人で派手に踊りつつカクテル光線の中での披露。 今年「抱きしめてTONIGT」のイントロが流れたとき、舞台にいたのは阿部ちゃんただ一人。 つかこうへいは、思ったのだ。 このドラマツルギーの要であるこの最重要歌を支えるのは、もう阿部一人の「華」で十分だ。 阿部ちゃんは一本のピンスポットの中、一人で歌い、舞台を支えきった。 このシーンがそのままラストの壮絶なカタルシスの保証なのだ・・・
<2へ続く>
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