ねろえび日記
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2006年05月01日(月)  あずみ AZUMI RETURNS

あずみ AZUMI RETURNS
作:小山ゆう
構成・演出:岡村俊一
出演:黒木メイサ/生田斗真/長谷川純/山本亨/山崎銀之丞/涼風真世/赤坂晃/こぐれ修 ほか

梅田芸術劇場メインホール A席 3階4列32番(劇場窓口当日券)


たいへん評判がおよろしいのでどれどれと観にいって参りました。
評判通りいいお芝居だった。わたし好みでした。えーと、プチ新感線みたいな。で、新感線より若々しくて可愛げもある。

拍子木がチョーンッ!!と鳴って、ドラマティックな照明、大音量の音響、スピーディーで余裕のある見事な殺陣、ちょいと笑わせて、女も男もすこぶるカッコよく、じーんと泣かせて、殺戮の果てにカタルシス。

原作は読んでなくて映画を1、2ともテレビで観ている。なので基本設定はわかっていたが、舞台版はまた違ったストーリーで、それがなかなかよくできていた。テンポもよく、それでいて情感もあったし。

あずみをはじめとする刺客たちと秀頼の“子ども”と周囲の“大人”の関わりがストーリーとしても演技(カンパニー*)としてもいい感じに作用していて、気持ちがよかった。
“子ども”は子どもでも使命も責任もある存在で、わからないなりに懸命に生きていて、それがよりせつなかったりするんだなあ。

* 私は、スタッフキャスト関わった人々ひっくるめての一座という意味で使用するところの「カンパニー」という小洒落た用語が好きではない。かゆい。他に思いつかないから使ったけど、何の抵抗もなしに使っているわけではないことを明記しておく。

2幕は、うきはとあずみのシーンもうるうる来たが、秀頼のラストシーンではもうぼろ泣き。よもやハセジュンに泣かされるとは思ってませんでした。つーか、秀頼、得な役なんだよなー。「愛と沈黙」(←好き)なんて反則的な曲も使ってるし。たとえ歌ってるのがハセジュンだとしても、だ(ド下手)

メイサちゃんは姿よし、演技よし、「Endless SHOCK」(DVD上映会)よりもずっとよかった。あの時は芝居にメリハリがなくてメリメリしてるだけだと思ったけど。ごめんね。「アオドクロ」の鈴木杏ちゃんに対する驚きと感嘆に似たものがある。その若さが眩しく、畏れ多い。
あずみは人を斬ることでその人への愛を示していたのだなあ……。まさに「愛に生きて愛に死ね」ですよ。

斗真くんはジャニーズというよりフツーにひとりの若い役者さんとして姿も演技もカッコよかった。

時にお茶目で時にあずみを見守る飛猿の山崎銀之丞サン、
大人の中の大人じいの山本亨サン、
貫禄の母淀君と美しくもイッチャッてる殺人狂最上美女丸の二役(どーしてこんな二役ができるのみたいなことを紹介で言われてた)涼風真世さま、
渋くて最後は大人の優しさであずみを包んだ加藤清正のこぐれ修サン、
ガラスの三十代赤坂晃くんも、
皆さん素敵でした。


思うことは沢山あるけど、おおむねよかったよかった話で、キリがないのでこのへんでやめておく。
最後の役者紹介(by 銀ちゃん)まで洒落ていて楽しい舞台でした。


蛇足、
席は3階後半列どセンターで、横方向の通路より後のエリアには自分を含めて7人しかいませんでした、前半席も1/3くらいの入り。1、2階はきっとそれなりに埋まっていたのだろうけど。いい作品なのになあ……。
周囲に人がいないと何だかミョーな開放感があって、たぶんそのせいでボロ泣きしたとも言える。

センターはやはり気持ちいい。主要登場人物が正面でキメるシーンが多かったため、遠くてもストンと胸に届いたさ。表情は全くわからなかったけど。照明は適正に見えたはずだし。
3階席のおかげで床に投影された光と影とその変化がよく見えて美しかったし、群集の殺陣シーンも一目で全体が見渡せて迫力があった(誰かご贔屓がいたらそうも落ち着いていられないかもしれんが)
客いじりは興味がないので何が起こっているのか一切見えなくても無問題。


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