風に揺れるたんぽぽ
たんぽぽ



 初めての二人きり

私は、平日ほとんど[恋楼]に入り浸っていた。
朝、夫を送りだし、子供が起きて来るまでの時間、子供が機嫌よく一人でテレビを見たり、お昼寝をしている時間、そして真夜中。
そして、彼は毎日きちんと決まった時間にやって来た。就業時間前の30分間、お昼休みの1時間、就業時間後の30分間。

私は、彼が来るのを密かに心待ちにしていた。彼と話すのが楽しかったし、彼が他の誰かと話しているのを見ているのも楽しかった。
彼はとても丁寧な言葉で話す人だった。その上、場の雰囲気を読むのもうまく、良いムードメーカーになっていた。

出会って3日めの朝、たまたましばらくの間、私と彼は二人きりになった。
その時彼は私に聞いた。
「あれからどう?旦那さんは」
「え?」
私は、何を聞かれているのか分らなかった。
「仲直りした?」
「あ〜、仲直りっていうか…まぁ、普通にしてますけど、お互いに。」
彼は、私がはじめて[恋楼]に行った時に、他のメンバー(女性)相手に、例の、
夫の「専用線にしよう!」発言
について愚痴っていたログを見ていたらしかった。
彼が自分の事を気に留めていてくれているようで、私にはそれがとてもうれしかった。
「風さんのご夫婦はいかがですか?」
彼は結婚10年目で夫婦二人暮らしらしだった。奥様もお仕事をしてらして、お互いの自由な時間と、夫婦の時間とをバランス良く保った今時の理想のカップル、という感じがしていた。私は純粋に、そんな彼に夫婦円満の秘訣を聞くつもりだった。
が、彼にも不満や悩みがあった。



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1999年01月14日(木)
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