「来週休み取れたからどっか行かない?」 新宿の街は目にウルサイ。ネオンがこれでもかと光り輝いて、その厭らしさと言うか虚無感というのか、中身が何もない意味のない光がやけにこっちを見ては、全身をごちゃ混ぜにされた感じ、嫌いと言えたら楽な街だ。
「秀樹の為に休み取ったの!一緒に遊びに行こうよ」 地上より少し高い所にある…と言っても3Fだが、喫茶店で仕事帰りにコーヒーを飲みながら、又同じように仕事終わりでこれから1杯という人達が続々駅とは逆方向の繁華街に消えて行く。 僕と違うところはコーヒーか酒か、それと話しを聞いてくれる女か話しをしたがる女かの違いだ。
「そうだなーゆっくり温泉でもいいなあー」 楽しそうに話す女、聞いているフリだけする自分。 きっと神様は僕にとんでもないヤツをつけて僕を話し好きにさせ様としたのか、聞き上手にさせ様としたのか、どちらにしてもこの女をつけてくたのは明らかに失敗だった様に思える。
神様の言う事は聞かない。 「きっと忙しいからダメだ」 と外を眺めながら言った。新宿の夜は何とも綺麗だ、行き交う人々の足と目に飛び込んでくるネオンが一斉に交差する。 「そう…じゃあ違う人と行ってもいいの?」 「お好きな様に」 「本気で言ってるの?」 「本気だよ」
女は席を立ってどこかへ消えて行った。 と同時に話しを聞いてくれる女の元に電話をかける。 「今何してる?もしよかったら…」
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