喫茶店に入った。 まだ付き合っているとも、付き合っていないとも言えない女と。 ―今日こそは― と心の中で思っていた。 取りあえずタバコに火をつけ、落ち付かせようと肺に煙を入れて吐き出す。 吐き出した煙が一面に広がり目の前を遮った。 霧の様に前が見えなくなった、目の前にいる女の顔すら。
何秒経っただろうか?少しすると目の前が開け、 目の前にいる女性は老女に変わっていた。 「えっ?」 事情がが飲みこめない、トイレへと駆け込んだ。 綺麗に清掃されている手洗いの鏡には 自分ではない、だけど自分の様な年を取った老人が映る。 嘘だと思いたくて蛇口をひねり両手一杯に水を貯め鏡に引っ掛けたが 夢でもない嘘でもない老人の顔は何度掛けても一緒だった。
信じられなかった。 肩を落としながら、席に戻ると老女は 「さあ、行きましょうか、あなた」 ―…あなた???―
Happy Endなのか、 Bad Endなのか、分からなかった。 ただ年を取りもうタバコは吸えない体になっていた。 肺が煙を受け付けない、あの煙はもう出せない。
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