サヨナラの言葉さえ失われてホームに入ってくる電車の風に顔をそらした。 繋いだ手を離して… 君が遠ざかって… 「離れたくないんだよ、本当に」 そんな言葉さえ言えないくらい、笑顔も作れないくらい 君の事だけを、まるで映画のワンシーンの様に僕はカメラになって撮り続けた。 「青梅行きが発車します」 アナウンスが流れる。 「じゃあね」 3歩僕の前に行って振り返りそう言った。君の笑顔がやけに苦しく辛く…でも愛らしかった。それを、僕達は恋と呼ぶ。ふに現れた感情に心が揺れて何も言えなくなる、それが何なのか知っている僕は呼び止めるしかない。 君が前を向いた瞬間、抱き寄せた。 何秒だっただろうか?ほんの一瞬の出来事… 「絶対迎えに行くから」 それしか言えなかった。
僕の役目はきっと君を守る事で、それをどうにかしようともがいて、降り積もる想いと心のドキドキが交互に混ざっては焦って何もできない自分がここにいる。 君が僕の前に現れた時に全てが回り出して、輝きを放った。
こんな時にどんな言葉を言えば君と繋がっていられるだろうか? 遠い街で暮らす君よ、僕の声は届きますか?
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