結婚しようと言われたのは、11月20日の日曜日。
久しぶりのデート中、品川の水族館で。
正確には。
「俺だったら、りりかを幸せに出来る自信があるから。一生、そばで見ていてください」
私も、栄と一緒にいたいと思っていたから。
すんなり「お願いします」と言い。
私たちは、バカみたいに照れた。
水槽のトンネルの中で。
そのまま。
子供たちを迎えに私の実家へ行き。
栄から、母に報告をし。
「こんなわがまま娘で良かったら」
とか言われ。
翌日の夜は、栄のご両親に報告をしに行った。
お互いにバツ一だし。
結婚式とかは、しなくてよいんじゃない?と言う私に。
「結婚式したこと無いりりかに、最初で最後のウェディングドレスを着せたい」
と、栄が言い。
身内だけで、小さく式だけしよう、と言う話になった。
今は。
毎日仕事が終わったら、うちへ帰ってきて。
夕飯を食べて。
栄はライラとお風呂に入り。
私はその間に洗濯物を畳むのが日課だ。
とは言え。
店長になった今。
私の方が、帰りが遅くて朝が早い、なんてこともざらで。
そう言う日は、栄が子供たちと夕飯を食べに行ってくれるか。
栄特製の喫茶店風ピラフを作ってくれてたりする。
ちゃんと子供たちを寝かしてくれて。
私がどんなに遅くなっても、待っていてくれて。
寝るまでの少しの間。
二人で色々な話をするのが、楽しい。
過去の話をするときもあれば。
未来の話をするときもある。
お互いに、仕事の愚痴を言い合う日は毎日だし。
どうでもいいくだらない話、例えば昔のアニメの話だったり、ファミコンの話だったり、もする。
私はいつも、栄の肩に頭を乗せて。
眠くなるまで、栄の声を聞いている。
栄の声が、大好きで。
話し方が、本当に好きで。
栄の言葉が、栄の肩を伝って、私の耳に届くとき。
私は、その瞬間、凄く幸せな感覚になる。
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