冷静になってみても、私はやっぱりハルが言ったことは許せなかったし。
もう会いたくないし、話したくない、と思っていた。
3日くらい経った頃。
ハルからメールが来た。
「この間は、酒の勢いもあり、言いすぎた。ごめん。でも、俺はりりかや子供たちが、たとえ親兄弟にでも嫌な事されたら、文句を言いたくなるんだ」
と、書かれていた。
私は、それを見て。
ハルはいつだって、私の味方だもんね、と思った。
思ったけど。
それでも、やっぱり「はい、分かりました」とは言えなかった。
だから。
「いつか、笑顔で会えるときが来るまで、またね」
と、送った。
返事は無かった。
私の中では、これで終わったと思っていた。
もう、ハルとは会うこともないし、何も無いだろう、と。
だけど、それからまた三日後。
ハルからメールが来た。
「俺は、いつだってりりかといると笑顔でいられるし、りりかを笑顔に出来る自信がある」
「ごめんなさい、私はやっぱりあなたと笑って会ったりすることは、難しいので」
「完全に嫌われちゃったか。本当に、ごめんなさい」
私が返事をしないでいると。
「りりかが会いたくないのなら、子供たちと会ったりしてもいいかな?もうすぐライラの誕生日だし。だめかな?」
と、立て続けに来た。
子供たちとだけ会うなんて、無理だと思った。
私が家にいて、ハルが迎えに来るんだろうし。
それに、父親でもないのに、やっぱり子供たちとハルの4人で会うのはおかしい。
いつまでも、私たちに関わっていると、ハルは全然進まないし。
まだ26歳なのに、周りなんか見えなくなっちゃうだろうし。
しばらく考えて。
「ごめんね、やっぱりそれも出来ないかな。だって、おかしいでしょ?」
と送った。
それから。
「俺は他人に心を許せる人間じゃないから、りりかたちに会っていないと苦しいんだ」
とか。
「りりかや子供たちが嫌な思いをしたら、誰であろうと俺が言ってやりたいと思っている。それも、俺なりの愛情表現だったんだよ」
とか、メールが来て。
私だってもちろん揺れたし。
許したら、いいのかな。
時間が経てば、笑って終わることなのかな?
と思ったし。
でも、終わらないだろう、と言うのが結論で。
「無理だよ。私は、何もしてあげられないよ」
と送った。
「俺、生まれてこなきゃよかった」
私は、返事をしようか迷ったけど。
適当な言葉なんか見つからないし。
その頃は、栄との事で、まだだらだら話し合ったりしていた時期だったし。
Rの事もあったし。
そう言う「死ぬ」とか「自分なんかいなきゃいい」とか、そう言う言葉にうんざりしていた。
だから、冷たいかもしれないけど、私は返事をしなかった。
数日後ハルから最後に。
「りりかのこと、本当に愛していたし。これ以上誰かを好きになることなんか、出来ないと思う。いつだって、りりかは俺の味方でいてくれたし。俺を甘えさせてくれていた。これからは、誰かに頼らないで、頑張らなきゃね。ありがとね」
と、メールが来て。
私は、これにも返さず。
そして、ハルからは連絡は途絶えた。
きっと、あいつは、大丈夫。
私がいない方が、きっと幸せになるし。
私は充分、あいつと一緒にいて、幸せだったし。
それで、よかったんだ。
これで、よかったんだ。
きっと、もう会ったりすることも無いんだろうなぁ。
あれから1ヶ月近くたって、今考えてみても。
やっぱり、私は笑って許せないし。
心が狭いって言われても仕方ないけど。
私は、あの切れたときに、一気に冷めた自分がおかしいとは思っていない。
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