今月初め。
最後の日記を書いた数日後に。
ハルから電話が来た。
真夜中の、2時。
私は、もう寝ようかと、うとうとしている時だった。
久しぶりに聞くあいつの着信音に。
最初は眠さもあって、ピンと来なかった。
画面表示を見たら、ハルのフルネーム。
何秒間か、出るのをためらった。
「はい」
「寝てた?」
「ん。寝てた」
前は、寝ていても「寝てないよ」って言ってたくせに。
寝てなかったのに「寝てた」と言うようになったんだなぁ。
なんて、訳の分からないところで、時間の経過を考えたりしてた。
このところ、全然飲んでいないんだ、と言う話から始まって。
色々な「どうでもいい」世間話をし。
私が何度目かのため息をついたとき。
「用事なんか、無いんだよ」
と、ハルは言った。
あれから。
友達の紹介で付き合った人がいたけど。
5日しか持たなかった。
5日だけなのに、体の関係はあったけど。
りりかの時なんか、何ヶ月待ったと思う?
なんて言われても。
私は、なんとも思わなかったりして。
あー、時間が解決するってこういう事なんだなぁと。
しんみり思ったりして。
それに。
私があの時許せないと思った気持ちとか、そう言うのも。
ハルと話しても、なんとも思わなかったりした。
昔のこと。
そう言う風に、思っている自分が、少しだけ可笑しかった。
あんなに、ハルじゃなきゃ嫌だとかだめだとか。
思っていたくせにね。
結局は、そんな程度。
私が誰かを愛するなんて、結局そんな程度なんだもん。
先週から心療内科に通っている。
胃に穴が開いて、原因が色々なストレスらしいので。
なんか、どうでもいい私の過去の話とか、だらだらと聞いてもらうだけなんだけど。
それだけでやっぱりすごく楽になってるから、驚く。
ハルがいた頃は。
そう言う役目は、ハルだったんだなぁと。
最近気付いた。
私もハルの話を聞いたりしていたし。
お互いに精神的に支えていたんだなぁと。
私は、何もしてあげられないから、やっぱり聞くのも辛いかな。
聞いちゃったら、何かしてあげられないかな?って考えちゃうから。
でも、結局は、何も出来ないんだから。
私がそう言ったら。
「だよね、ごめん」
と、ハルは言った。
そして。
「でも、りりかが何かして欲しいとき、俺は絶対に力になるから。言って」
真夜中は、なんだか気持ちが不安定で。
そう言う、昼間なら絶対に言わない言葉も出ちゃうものなの。
だから、ハルもきっとそうなんだよね。
2時間も話して。
私はほとんどが聞き役だったけど。
翌日は、本当に眠いまま勤務したけど。
ハルは、私にとって過去になったんだと言うことが分かったことは。
意味ある前進だよなー、って思ってた。
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