翌日退院したRからのメールは、一日に20通は超えた。
と言うのも、彼女はDoCoMoのFOMAじゃないから、1回あたりに500文字しか送れないのも理由なんだけど。
長文は何通にも分かれてくるというのも、数が増えた理由の一つ。
私は、仕事のせいにして、毎回は返さなかった。
4通に1回くらいの割合で返すくらいで。
退院してから数日後の土曜の夜。
Iショットが送られてきた。
太ももを数回切ってある写真だった。
呆然としていると、彼女から電話があり。
「りりかさん、私が怖いんでしょ」
と言われた。
私は、黙り込んでしまい。
彼女は。
「りりかさんも、こんな写真見せられて、苦しい?」
と、私に聞いてきた。
しばらくの沈黙の後。
「どうして、自分を傷つけるの?」
ようやく私が返事をすると。
「最初は、死にたかった。今は生きて行くためにするの。よかった、今も生きてるって、実感するから」
白い彼女の太ももに、何本も傷があり。
そこから血が流れている写真は、生々しくて。
とても、怖かった。
「私に何か出来ることがあれば・・・」
「そう言うと思った。でも、出来ることなんか一つしかないの。私がこうやって生きているって事を、りりかさんだけは知っていて」
「どうして、私なの?」
「私にも分からない」
この後も、何通か傷の写真が送られてきた。
そして、彼女は、入院した。
私の携帯には、彼女の写真が残った。
でも、新しいメールたちに、消されていく。
記憶からは、きっと消えないけど。
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