今月の上旬。
8月に入ったばかりの日だった。
私は仕事をいつも通りしていた。
夕方の休憩中に携帯を見ると「着信あり」になっていた。
相手は、R。
この店でも働いていたことのある子だ。
かけ直してみたけど、電源が入っていなかった。
夜、もう一度電話してみた。
電源は入っていて、繋がったけど、出たのはRと同棲中の彼だった。
Rは、手首を切って、意識不明だと言われた。
Rは、今私の住んでいる市の市役所職員で、母子家庭になるときも色々と手当ての事や、手続き方法や、提出書類を調べてくれたりして、本当に力になってくれた。
でも、最近は年賀状と誕生日メールのやり取りくらいで、ほとんど連絡を取ることも無く。
それでも、元気にしているものだと、私は勝手に思っていた。
私が慌てて病院に駆けつけたときは、意識も戻っていた。
命にも別状は無く。
Rは、泣きながら、職場でのいじめとセクハラと、色々なことが重なって生きているのが辛くなった、と言った。
手首を切って、血がどんどんあふれてきた時に、怖くなって私と彼に電話をしたらしい。
私も彼も、仕事中で電話には出ず。
そして、意識を失った。
着信履歴を見たのと、最近ちょっとおかしかったのを思い出した彼は、急いで帰宅したため、一命は取り留めた。
私は、正直、分からなかった。
最近連絡も取ってなかったわけだし。
何で私に連絡をくれたのか。
そして、正直、怖かった。
彼女がした事も。
彼女の事も。
理由なんか無かった。
ただ、怖かった。
だから。
その後、泣きはしなかったけど、震えながらハルに電話した。
ハルは。
「りりかは、関わらないほうがいい」
と言った。
「何も出来ないくせに、何かしなきゃと躍起になって、空回って、凹んで大変なんだから。それで子供とかに心配かけるんだよ?そう言うのが、りりかの悪いところ。偽善なんだよ、結局」
とも。
あいつは、私のことを、やっぱりよく知っている。
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