朝7時ぴったりに。
「おはよう、起きてた?」
ってハルから電話。
「起きてたよ。これから?」
「うん」
「がんばって。あなたなら、大丈夫よ」
「ありがと。何かちょっと自信がわいたかも」
「そか、よかった。ホントに、がんばってね」
午後の休憩のときにメールが来てた。
「緊張して、失敗しちゃって。きっと落ちちゃった」
「発表はまだ先なんでしょ?そんな弱気にならないで」
って返したらすぐに電話が来た。
「だっていつもやっている簡単なことなのに、緊張しちゃって、だめだったんだよ?もう絶対に落ちたよ」
「あなたが緊張するなんて、珍しいね」
「うん・・・何か緊張しちゃって。手も震えちゃったし」
ものすごくへこんでた。
可哀想になっちゃうくらい。
夜電話していい?って言うハルに。
やっぱり「うん、いいよ」って言ってしまう私。
今日くらいは、ね。
甘やかせても、いいよね。
たくさん、疲れちゃったんだし。
思った通り。
ハルはものすごく酔っ払って、電話をしてきて。
そして、たくさん、泣いた。
たぶん、3年半以上知っているけど、こんな泣き方は初めて。
一緒に、ずっとそばにいてください。
とか。
りりかがいないと、何もうまく行かない。
とか。
結婚して欲しいとか、そういうことも言わないから、お願いします。
とか。
とにかく、泣きながら頼まれた。
私は。
「ハル。それは、もう無理だって知ってるよね」
と、冷たいかもしれないけど、そう言った。
ハルのことは、今だって大好きだし。
一生特別だって思う。
だけど、ハルと元に戻るとか、そういうのは、出来ない。
だから、本当は甘えさせるのも、だめ。
これで、最後だ。
「あなたは、まだまだ若いんだから。これから、きっと素敵な人が、現れるよ。あなたを支えてくれる人が、きっとね」
ホントはね、すごく揺れたの。
だって、大好きなんだもん。
でも、同じことの繰り返しだって、思ったの。
栄のことを、これからはちゃんと見て行こうって決めたんだし。
私なんかが、誰かを幸せに出来る、なんて思っていないけど。
でも、今現在、栄は私といると幸せだって言ってくれている。
そう言ってくれている栄を、大事にして行こうって。
でもやっぱり。
人の気持ちなんか、そう簡単に変わらなかったりするんだよ。
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