2005年07月09日(土) |
それは、肌寒い、大雨の日。 |
夕方から、土砂降りだった。
栄が実家の仕事をするようになって、もうすぐ1週間。
飲食店と違って、時間がきっちり決まっているのが、いいよね、なんて話を聞いた。
夜はどんなに遅くなっても、私みたいに23時とか24時とか、日付を超えちゃうとか、そんなことはない。
「うちで働けば?接客得意でしょ」
「今の仕事が、好きだからねー」
「給料、今以上に出すって言っても?」
「ちょっと揺れるかも(笑)」
「じゃぁ、出すよ」
「うそうそ。冗談だよ」
「悪い話じゃないと思うけどなぁ。りりかなら、仕事熱心だし」
栄の車の中で、こんな話をして。
明日休みの私は。
「飲みに行く?」
と、栄を誘った。
「子供たちは?」
「明日桃狩りに行くんだって。今日から実家」
「じゃ、行くか」
二人きりで飲みに来るのは、久しぶり。
栄が見つけた、駅前の地下のバーに。
栄の家に車を置き、駅まで徒歩5分。
なのに、私も栄も、傘を差してなかったの!?って言うくらいに、びっしょり。
バーのマスターがタオルを貸してくれて。
「こんな土砂降りの日に、来ていただいたんですから」
と、ワインを一杯ずつご馳走してくれた。
2時間くらい飲んで。
家まで送ってもらう途中。
やっぱり二人ともびっしょりになって。
栄が。
「うちに来ればいいのに」
と、ボソッと言った。
ホント、小さい声で、傘に当たる雨音にかき消されそうだったよ。
私が黙ったまま歩いていたら。
「うちに来いよ。シャワーくらい貸してやる」
今度は大きめの声で。
「行かない」
「何で?警戒してるから?」
「それもある」
「それもって他に何?何もしないって」
「家まですぐそこなのに、わざわざ栄の家に寄る意味が分からない」
「・・・無駄に近すぎるよね」
「ホントにね(笑)」
結局、びっしょりになりながら、栄の家を通り越して。
うちまで送ってもらう。
「今度、遊びに行かせて」
「絶対来る?いつ?」
「近いうちに。ちゃんと掃除してよー」
「わかった。約束ね」
お風呂に入ってから携帯をチェックしたら。
ずいぶん前にハルからメールが来てた。
地下に入っていたから、止まってたんだ。
「昨日、友達の奥さんの友達と、酔った勢いもあって、しちゃいました。何か、すごいつまらなかった。あんなんなら、一生自己処理でいいやーって思っちゃいました。りりかとのエッチはいつだって楽しかった。気持ちの入りようで、全然違うものなんだって、自分でもびっくりです」
なんて返そう。
そう思いながら、気付いたら眠っていた。
ショックじゃないって言ったら、嘘になる。
でも、ショックを受ける自分自身が、よく分からなかったりする。
そんな立場じゃ、ないじゃん。
でも、そんな報告は、いらなかったな。
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