いつもの日課の電話。
栄の事を何も聞かれないし。
私からも言い出せないし。
そんな変な、感じで。
酔っ払ったハルは。
「りりかの事を前みたいに、大事に思えなかったりする」
と言った。
「何で?」
「いつも一緒にいれば、そう思えるんだろうけど」
「いつも?」
「そうだよ。結婚すればだよ」
「どうして?」
「結婚を考えている彼女と、単なる彼女じゃ、重みが違うんだよ」
ハルが言いたいことは、分かった。
結局は、同じことだ。
結婚しようって私が言えばいい。
結婚して、一緒に暮らして、仕事も辞めて、毎日家にいて。
言いたい事は分かったけど、触れなかった。
黙ったままだった。
ハルは。
「日課の電話も、あんまり必要ないと思う。そこまで大事にする必要ないと思う」
と、言った。
あんな、大きな喧嘩して、別れるとか別れないとか。
そういう話ばっかりして、元に戻ったんだもの。
違和感があるのは、仕方ない。
そう思おうと思った。
でも、思えなかった。
ハルじゃなきゃ嫌だと思っていた私は、日に日に、どんどん遠くに行ってしまった。
週末が来て。
「休みだったら、どうします?」
とメールしたら。
「たまには、休みだったら家で漫画でも読むかな」
と返ってきた。
結局仕事だったんだけど。
少しずつ、少しずつ。
私はハルとの距離を感じてた。
前なら休みだったらどうする?なんて聞く前に、ハルから「会いに行くね」と言っていたはずだ。
おはようのメールと。
ただいまのメールと。
お休みのメール。
この3往復だけの日が続いている頃だった。
「この人は私のこと、本当に好きなの?」
ハルと付き合っていて、初めて、思った。
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