ハルに返さなきゃいけないお金とか。
うちに置いてあった洋服とか。
そういうの用意して。
「もう出たよ」って言うメールをして来たハルが来るのを待つ。
電話が来て。
「下についたから、降りてきて。出掛けよう」
って言われる。
なぜ?どこへ?と思いながら、慌てて出掛ける。
ハルの車に乗るのは、これで何度目かな。
これが最後かな。
そんなこと、考える。
「どこ行くの?」
「りりかの好きなところ」
「どこ?」
「そのうち分かるよ」
走っている途中で、ハルが連れて行こうとしている場所が分かった。
よく一緒に行った夜景が綺麗な、坂の上の公園。
「どうして?」
「ここで少し話そう」
なんて言って、車を停めているうちに、雨が降り出した。
車を停めた場所から少し歩かなきゃならないし。
公園の中は、雨宿りする場所はない。
「あーあ・・・」
ハルはため息をつく。
結局少し待ってみたけど、雨は止まず。
「ご飯行こうか」
って言うハルの言葉で、再び車は走り出す。
いつもみたいにまず。
「何食いたい?」
とか、聞いてくれる。
「なんでもー」
って言う私の返事も、いつも通り。
「じゃぁ。りりかの好きなパスタで」
とかハルが言うのも。
何してても、いつも通りで。
何も変わらないから、困惑した。
私たちって、今どうなってるんだっけ?なんて。
ご飯を食べて。
うちに一緒に帰ってきた。
ワインをハルが買ってきたから、それを飲みながら話すことに。
色々と話した。
今まで色々とありがとね。
とか。
ちゃんと、ハルの思ったとおりに出来なくてごめんね。
とか。
ハルは。
「謝るのは、俺です」
とか言う。
そして。
「すげー。後悔してる」
とも。
酔って、カチンと来て。
そして「別れよう」と言ってしまった事。
自分のところに呼ぶ事を焦ってしまっていた事。
だから、ごめんなさい。
撤回して欲しい。
今、そう言われても。
私は、もうハルの元には戻れないって思った。
気持ちが、ハルのそばにもうないから。
違う。
あるのかもしれない。
きっと、ある。
でも、栄の事を好きになろうとした。
だから。
「ごめんなさい」
ずっと一緒にいると思ってたなぁ。
ハルとは、なんだかんだで、ずっと死ぬまで一緒だって思ってた。
別れを口に出したのは、ハルだったけど。
気持ちを切り離そうとしたのは、私だった。
ずっと、好きだよ。
ハルが言ってくれたように、私の中でも、あなたは永遠に特別だよ。
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