あいつが来た。
22時直前。
まだ働いている私の店に。
予感はしてた。
「会って話す事じゃないの?」
そう言ったから、土曜日辺り来るだろうって。
ただ、この所、仕事がかなりハードで。
疲れていた事も確か。
久しぶりの休みの日曜は。
前日の土曜からぐっすり、ゆっくり、眠りたいなぁって。
そう思っていたから。
来てくれた事は、もちろんありがたかったけど。
いつもみたいに。
「嬉しい」
って気持ちは、そんなになかった気がする。
私が仕事終わるのを、店で待って。
そして、あいつの車に乗って。
数時間ドライブをした。
車の中では、この間の旅行の話とか。
今週の仕事の事とか。
そんな感じで。
「あの話」には触れない二人。
「眠たい」
と、私が言い出したから。
ホテルに行った。
シャワー浴びたら、眠気なんかなくなってしまい。
お酒を飲み。
かなりいい気分になってきた頃。
あいつから。
「この間は、突然ごめんね」
なんて、言われた。
「謝る事?」
「急かしちゃったから。けど、考えてみたら、もうちょっとゆっくり考える時間があってもよかったなぁって」
「んー」
「いいよ、もうちょっと後でも。あの時、ちょっと酔ってたんだよ、俺。で、強気な発言しちゃったの(笑)」
「そう」
「だから、ごめんね」
「謝ることじゃないって」
なんだか。
あいつの気持ちが離れて行くのを感じてた。
悲しかったけど。
私が悲しいと思う以上に、あいつの方が。
きっと、悲しいんだと分かった。
だから。
「明日はひなちゃん(私の妹)呼んで、カラオケにでも行くかー」
なんて、明るく振舞っているあいつに。
私が出来る事ってなんだろう、って。
酔っぱらった頭で考えてた。
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