march forward.
りりかの独り言。

2004年01月01日(木) 直して欲しい所

「りりか、りりか」

肩を揺すられて、それでも起きなかったら。

布団をはがされて、目が覚めた。

「眠い・・・」

「もう7時過ぎちゃったよ・・・」

「んー、まだ7時か。・・・初日の出は?」

「出ちゃってる・・・」



去年は雪が降るような天気で、初日の出は見れず。

今年はいいお天気だったのに、寝過ごして見れず。


「あーあ。まぁ、仕方ないかー」

とか言って、布団をかけなおしている私に。

「もう寝ない!起きるの!」

って、布団をはがすあいつ。


結局、寝起きで旅館のお風呂に入り。

目を覚ますことになった。



お昼前に、旅館を一時出て、近くの日帰り温泉へ。

そこで長湯をし過ぎてしまい。

少し、貧血を起こしてしまった。

あいつには。

「長すぎだよ!」

って怒られて。



旅館に戻るとき、夕日が見えた。

「初日の出は見れなかったけど、今年最初の夕日だね」

と、あいつが言った。





夕飯の後、旅館の貸し切り風呂に入って。

「あまり長く湯船に入らないように」

と釘を刺された。

貸し切りだから、もちろん一緒に入るんだけど。

真っ暗にしてもらったけど、露天風呂だから外の明かりで完全な闇にはならず。

私は、恥ずかしくて、なかなか服を脱げなかった。

違う方向を向いてもらって、湯船に入って、入った後はずっと体育座り。

そんな私を見て、面白がって、あいつも体育座りしてた。



「新年って言う事で、お互いに直して欲しい所を言い合わない?」

って、あいつが言ってきた。

「いきなり言われても、考えつかないよ」

って、私が答えると。

「なら俺から」



私に対して直して欲しい所ってどこだろう?

聞くのが、少し怖くなって。

何度も。

「ちょっと待って」

とか。

「でも、言われても直せない所かもしれないし」

とか、制してしまった。




「もっと俺を信用して欲しい」

「え?」

「俺を、信用して欲しい」

「してないかな?」

「してないよ、全然してない。最近は特にしてない」

「そか、してないか・・・」



確かに。

信用してないかもしれない。

疑ってばかりいるかもしれない。

キャバクラに行った事に対して嘘ついてた事が、11月に発覚して。

私の中で、あなたは嘘を吐かない人間だと信じ切ってた。

いつだって、嘘は言わない。

だから、安心しきっていた。

けど、本当は嘘だったこと。

そのあと、約束した事も、破ってその上嘘をつこうとした事。

そう言う事があってから、少しずつ私の中で疑うようになって行った。


本当に、友達とサシ飲みなの?

本当に、仕事なの?

本当に、寝ちゃっているの?


なんて、前なら考えられない位に、疑って。

そういう疑う事に疲れちゃって。

考えたくなくなって。


少しずつ、考えないようにしていたら。

具合が悪かった事も、拍車をかけて。

楽になった分、気持ちは冷たくなって行った。



だから、一緒にいると。

素直に嬉しい、幸せだと、思えなくなって。

どこかで変に気を使ってしまって。




「うん、気付いてた」

「そか」

「何か、おかしいって。何かあるなぁって。たぶん、それ(キャバクラ)だろうなぁって」


あいつは、私の背中の方に回って来て。

後ろから抱きしめるみたいに、してきた。

私の頭の上にあごを乗せて来て。

「本当に、ごめん。今までもこれからも、りりかしか、愛せないし。これ以上ない位に、想っているし。言葉じゃ伝わらないかもしれないけど。信じて欲しい」


私が、泣きそうになって、慌ててタオルで顔を隠していたら。

首の辺りに後ろからキスをして来て。


「信じて欲しい」

って、もう一度言った。


私は、うなずくことが出来ず。

ずっと、タオルで顔を押さえたまま、泣いた。


「りりかは?直して欲しい所、ないの?」

また、頭の上にあごを乗せて来て。

私は。

「考えて置く」

って、泣き声のまま答えた。


あいつは、やっぱり。

「ごめんね」

を、繰り返した。


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