あいつと、年越しをするのは、何度目だろう。
31日から日付が変わった元旦の夜中。
ぼんやり、考えた。
東京を出たのは、お昼の12時。
あいつの車に荷物と私が乗り込んで。
いいお天気の中、高速に乗った。
サービスエリアに寄ったりしても、思ったより早く着き。
チェックインまで時間があるね、ってあいつが言い。
海の傍だったから、海を見に行こうって、海岸に車を走らせた。
気温は高かったけど。
さすがに海岸の風は強くて、寒くて。
私は「寒い」って何度も言った。
私の体調が余りよくない事を知っていたあいつは。
私を慌てて車に乗せ。
海岸に入る前の道路にあった自販機で、温かいお茶を買い。
「体温めて。今から旅館に向かうから」
と、心配そうに言った。
着いた旅館は、綺麗で、食事もお風呂も豪華で。
私は、素直に喜んだ。
あいつは、喜ぶ私を見て、満足そうに笑ってた。
何でこの人は、私が喜ぶ所を見ると。
こんなにも幸せそうな笑顔になれるの?と。
少しだけ、疑問に感じた。
1時間くらい前に。
「おめでとう」
を、言い合って。
一緒にお布団の中に入った。
あいつは、たくさんの運転とお酒のせいで。
うとうとしていた。
私は、なぜか。
睡眠不足だし、疲れているはずなのに。
目が冴えてしまい、眠れなくて。
一緒の年越しは何度目だろう、と。
あいつの腕の中で、ぼんやり考えた。
そうだ、三度目だ。
ねぇ、起きてる?
一緒に年をまたいだのは、今年で三回目なんだよ。
私たち、三回も一緒に元旦を迎えているんだ。
そんなに、長い事私たち一緒にいるんだよ。
あいつは、私を引き寄せながら。
んー。
覚えてるに決まってるじゃん。
でも、最初の1回目は付き合っていなかったからカウントしないでもいいよー。
何て言いながら、頭を撫でてきた。
「初日の出、見れなくなっちゃうから寝ておきなよ」
って、付け加えて。
私のおでこに、唇をつけたまま、寝息を立てた。
いい年して、バカみたいだけど。
ホームシックにかかったみたい。
真っ暗な部屋の中。
あいつは隣にいて。
私の背中には、あいつの腕の暖かさも感じていて。
おでこには唇の感触もあるのに。
寂しくなって、涙が出た。
家に、帰りたい。
そんな風に、思い。
泣きながら、眠った。
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