日付けが30日に変わったばかりの午前1時。
「ただいま、今帰って来ましたー」
って電話があった。
いつも通り、酔っ払って上機嫌。
私は、昨日の日記に書いたように、O君の発言がかなり気になったまま。
でも、あいつが楽しそうに話す事を聞いてた。
話している途中で「A君が」と言う名前が出た。
この間一緒に飲みに行った友達の名前。
A君は、今日あいつが飲みに行くはずだった友達夫婦とは繋がりがない。
おかしいな、とちょっと思い出してきた。
「ねぇ、今日はS君たちと飲みに行ったんじゃないの?」
「・・・うん」
何、この間。
「ねぇ、A君ってさ、この間キャバクラに一緒に行った子だよね?」
「・・・うん」
「ねぇ、行ってないよね?」
「・・・・・・(数分の間。この間、私は何度「もしもし?」を言ったか分からない。その度に、聞き取り難い声で「はい」って言うんだけど)・・・・・ごめんなさい」
「・・・。ごめんなさいって何?」
「ごめんなさい、ごめんなさい。約束したのに、ごめんなさい!」
たぶん、20回くらい「ごめんなさい」を言ってきた。
私は呆れてしまって、声も出なかった。
でも、いつもだったらここで「もういいよ」って言ってたと気付く。
もういいよ。
って言うくせに、結局引っかかったままのくせに。
そう言うのが、だめなんじゃん。
絶対にしないとか約束したんだし。
それでも行ったんだし。
「だって、A君にキャバクラの女の子からメール来てさー。行こうかって話しになっちゃって」
「友達のせいにするなんて最低だよ」
「・・・はい、そうですね」
「考えさせて」
「な、何を!?」
「どうするかって事とか」
「何をどうするの?」
「それを考えさせてって言うの」
「あの・・・お別れとか言わないよね・・・?」
「わかんない」
「言わないで・・・ください」
「明日までに考えておくから、もう寝て。明日仕事なんでしょ」
「いや、眠れないよ・・・。考え聞くまでは・・・。別れる以外だったら何でも言う事聞くから。お願いします」
いきなりそんなの決められないし。
でも、寝なそうだし。
迷って迷って、考えた結果。
「電話しない」
って事にした。
「俺からもだめ?」
「俺からもって、いつもHからじゃん」
「・・・ですよね」
「うん、会うまで電話はしません」
「メールは・・・?」
「・・・んー」
「メールもだめとか言わないでよ!!!」
「分かった・・・。メールはOKにします」
毎日2時間近い電話。
このおかげで、会わなくても平気でいられた気もする。
でも、距離を置いて見るのもいいのかもしれないな、なんてちょっと思った。
「でもね、本当に友達が行くって言い出した時は、りりかの事凄く浮かんで。3人で行ったから、俺だけ行かないとかいえなくて。罪悪感もあったし、約束もしたのにって思ったし・・・」
「言い訳しないで。嘘は嘘なんだし。約束破ったことには変わりないんだから」
「はい・・・ごめんね」
急に苦しくなって、涙がどんどん出てきた。
でも、泣いているってばれるのが嫌だった。
ここは強がっていたかった。
けど、結局泣いているのはばれちゃった。
「りりかー・・・泣かないでよ。ごめんって」
「泣いてない・・・」
「泣いてるもん・・・。本当に、ごめん」
これ以上話していても、もっともっと泣くだけだと思い。
「おやすみ」を言って、電話を切った。
電話を切る前に。
「ねぇ、今度いつ話せるか分からないんだから・・・。愛してるって言って」
って、言われた。
そんな事、今は言えなくて。
私の気持ちを確かめてこようとしている、あいつの気持ちも凄く分かってたけど。
言えなかった。
無言のまま、数分経って。
「りりか、愛してる」
って、あいつが言ってきたけど。
私は泣いてる声のまま「おやすみ」だけ言った。
離れて暮らしているって。
本当に見えないことばかりなんだ。
でも。
一緒に暮らしていたって。
嘘は結構簡単につけるものなんだから。
やっぱり、見えないこともたくさんあると思う。
明日は休みで良かった。
目が腫れてるもん、絶対。
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