ぱちんって。
何かが切れたように。
私は、泣きだした。
いつもの、夜の電話。
会わなくなってもうすぐ3週間。
平気だって言い聞かせてきた。
私は、大丈夫。
毎日電話もしているから。
寂しくなる暇がないんだ。
実際、仕事も忙しいし。
全然、大丈夫。
そう自然に思っていたはずだったのに。
気付いたら、泣きだしていた。
「明日、仕事残業にならないように、頑張るから。早く終われたら会おう。日曜はお互いに仕事だから朝までしかいられないけど」
あいつが、そう言った。
私は。
「無理しないでいいって」
と、言う。
この数日で何回、この言葉言っただろう。
無理しなくても平気、私なら寂しくないから。
そう思っていた。
「無理しないで、無理しないでって。無理でもしなきゃ会えないんだよ。会いたくて仕方ないって思っているのは、俺だけなわけ?」
すごく、キツイ声で言われた。
怒っているような。・・・ような、じゃなく、怒っている声で。
胸が、縮んだみたいに、痛くなる。
きゅって、痛い。
「無理しないでって言いたいのは、俺だよ。平気平気、寂しくない、って無理して気を紛らわせているのは、りりかじゃないの?」
少しずつ、優しくなって、いつもの声になって来る。
「ぎゅーってね。抱きしめたいの。寝ているとき、りりかが一緒に寝ていたら、こんな風に後ろから抱きしめているんだよな、とか。勝手に妄想しちゃって」
「明日、会いに行くから。でも約束は出来ないんだけどね・・・。残業になったら、OUTだから」
「無理させちゃって、ごめんね。りりかが仕事に逃げなきゃいけないくらいに、会えなくてごめん。会えたら、たくさん、甘えていいから」
それで私は、気付いたら泣いてた。
今まで強がっていたのが。
一気に決壊した感じ。
寂しいって言う気持ちを止めておいた壁が。
一気に外れたと言うか。
会えないことに対する寂しさから逃げ出したくて。
ずっと仕事三昧だった。
仕事が夕方や夜早い時間に終わる日は。
その後に予定を入れたりして、考えないようにしてた。
おかげで風邪までひいて、大変な思いもしたけれど。
それでも、私は休んで家にいるって言う事が嫌で。
辛くても何でも仕事に出ていた、今週。
そう言えば何度も何度もあいつに怒られたっけ。
「代わりならいるだろ?休めってば!」
職場の人や、友達や。
みんな「会わなくても平気そうだね」って言ってた。
「うん、毎日電話してるしね」って、平気だと自分でも思ってた。
平気じゃ、なかったんだなぁ。
泣きながら、そう思った。
寂しくて死んじゃうんじゃないかと思うくらいに。
胸が痛くて。
結局。
私から会いに行くことにした。
あいつが仕事終わるより、私の方が早く終わるから。
残業がなかったら、電話して。と、私は言った。
電話を切る前。
「もし、残業になっちゃったら、本当にごめん!!」
って謝られた。
「絶対に嫌。嫌だから」
なんて、珍しくわがままも言ってみた。
明日、会えますように。
そう願いながら、眠りについた。
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