2003年08月16日(土) |
遠距離になったばかりの頃みたいに |
あいつは翌日休みだけど。
あたしは仕事があるから。
あたしは帰ると、仲直りしたあと、言った。
あいつは。
「なら俺も帰る」
と、ニコニコしながら、車に乗り込んで。
てっきり、送って行けって事だろうと思ってたら。
「さ、りりかんちに行こうか」
って笑う。
「ねぇ、これ(あたしの車)で東京に行ったら、帰りはどうやって帰るのよ?」
「駅弁でも食いながら、ゆっくり電車で帰るよー」
「そんな面倒な事しなくても・・・」
「ちょっとでも一緒にいたいんだもん。いいじゃん!」
それで、結局いつもは一人で乗るこの高速も、今日は2人で。
変な感じが、した。
高速運転中。
「ほらほら、スピード出しすぎです」
とか。
「サイドだけじゃなくて、ちゃんとバックミラーも見て!」
とか、うるさいうるさい・・・
うちについて、あたしは仕事で。
あいつはその間大学時代の友達の家へ行き。
夜、また帰ってきた、と言う感じだった。
金曜、昼から出勤のあたしに合わせて、あいつも帰ることに。
駅まで送る。
駅について。
「ちょっとこれから忙しくなってくるけど、また来るから」
なんて、頭を撫でながら言われたら。
なんだか、悲しくなって来て。
遠距離が始まったばかりの時みたいに。
あたしは、泣きだしてしまった。
慣れた、はずじゃ、ないの?
朝だから、明るいし。
外もよく見えるし。
外からも、見えるだろうけど。
お構い無しに、あたしはあいつに抱きついた。
雨が降ってるから。
晴れた朝よりは見えなかった、はずだけど。
「珍しいなぁ。りりかから抱きついて来てー」
あいつは、嬉しそうに、頬をなでてきたけど。
あたしは、やっぱり泣いたままだった。
喧嘩して、別れよう、別れた方がいいとか、考えた分。
今一緒にいるこの瞬間が。
すごく、愛しく思った。
そして。
次、会う事なんかいつになるか分からない。
分からないから。
そんな日が、会える日が、本当に来るの?
なんて、また、遠距離になったばかりの頃みたいな感覚になって。
今日で会えるのが最後になるかもしれない。
なんて、思いながら。
泣きながら駅に向かうあいつに手を振った。
あいつは何度も何度も振り返って。
あたしがまだ泣いている事に気付いて。
止まって電話して来て言った。
「なんか、遠距離になったばかりの頃みたいだね」
って事と。
「愛してるよ」
って事を。
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