march forward.
りりかの独り言。

2003年06月02日(月) あの人の娘

6月1日 日曜日




落ち着け。


電話を切った後。

何度も自分に言い聞かせたけど。

あたしは、落ち着く事なんか出来なかった。


当たり前だと思っていた事が。

当たり前じゃなくなったと言う事で。

何かが壊れかけていた。



子供は自分の分身じゃない。

子供は自分の所有物じゃない。


そう、思って子育てして来た。

つもり、だったのかな。

あたしは、子供たちがかなり小さい頃から、小学校上がるちょっと前位から、自分の事は自分で決めさせて。

自分で決めた事は、きちんと守らせて。

それがたとえ、あたしの意と反していても。

「あなたたちが決めた事なんだから、失敗してもママは何も言わない」

なんて、よく言ってたな。



それは、あたしの祖母の子育ての仕方、だった。

あたしの祖母は、若くして旦那さん(あたしの祖父)に死なれて、再婚も、恋もせず、女でひとつで子供たち5人を育ててきた人だった。(一人は16の時に亡くなってしまったけど)

祖父が亡くなった時、一番下のあたしの叔母にあたる人は、まだ2歳だったと言うから。

長い間一人で頑張ってきた人だった。



「自分の事は自分で決めなさい。その結果が悪くても良くても、自分で決めた事なんだから、誰のせいにもしない」

と、あたしの母たちはよく言われたらしい。

母は、そんな祖母にきっと不満があったんだろう。

「産んだからには、あんたたちは私の物」

と言う考えの人だった。





普段は放ったらかしにして、勝手な事しているくせに、何かあると「あんたは私の物」と平気で言う人間で。

でも、あたしもあたしで、母にそう言われながら生きて行くのが当たり前だった。

窮屈だと、思ったりしたけど。

小さいころから当たり前に感じていたりして。


当たり前だけどおかしい。

そんな風に思ってた。



あたしは、母のようにはなるまい、と。

子供たちはそれぞれ個々の意思がある人間なんだから。

あたしが何かを左右してはいけない。

そんな、えらそうな事、考えてた。



くせに。



やっぱり子供たちはあたしの物、と言う考えがあったんだろうと思う。

だから。

あたしの子供なのに、あたしじゃないの?あたしとじゃないの?

父親なんて気持ちいい思いだけして、出産にも関与せず、子育てだってろくにしてないくせに。

なんで、そんな方がいいの?


そんな風に思ったりして。




自分がして来た事は、棚に上げて。


あたしはやっぱり、あの人の娘だ、と思う。





気がついたら、部屋の中はすごい荒れ方だった。

あたしは、部屋の隅で泣いてた。

バカみたいに、震えてた。


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