「喉痛いし、だるい」
あいつからメールが来た。
あいつは、実家に帰ってからよく風邪をひくようになった。
普通田舎に行くと健康になるんじゃないの?
ってちょっと思った。
夜の電話で。
「熱はないんだけど、喉が痛いし咳は出るしさー」
「あ、あたしがこの間、うつしたのかも」
「え?風邪ひいてたっけ?」
「あたし、喉痛くて咳出てたじゃん。で、Hの薬貰ったじゃん」
「ああー。そうだったね」
あいつの部屋で薬を飲んだ事を思い出した。
朝、ちょっと喉が痛かったから薬を貰ったんだ。
けど、めったに薬を飲まないあいつの部屋に、風邪薬があることに驚いたっけ。
「ねぇ、薬飲まないのに買ったの?」
「えー、あれは、りりかに買ったんだよ」
「いつ??」
「まだ俺が東京にいるころ、りりかが具合悪いって言って寝込んだときに買ったんだけど、りりかに渡すのを忘れちゃったんだよ(笑)」
「そーなの?」
「うん、結局あんな市販の薬じゃだめだったけどね。救急の病院に行ったよねー」
そうか、あの時か。
あの、高熱が出て吐いたりした、あの時の風邪か。
あいつが寝込んだりしたら、あたしが看病に行ったりした。
逆もあったし。
そう言うの、近いからこそ出来たんだもんね。
それに今は。
あいつは実家だから、寝込んでも家族がいる。
いつだったかなぁ。
あたしが離婚する前。
あいつが。
「一人暮らしの時具合悪くなると、凄く心細くなる」
って言ってた。
それで。
「りりかが具合悪くなっても、家族がいるからいいよね。心細くないじゃん」
って言われた。
あたしはその時は「そんなものかなぁ」って思った程度だったけど。
今は、凄く分かるよ。
そうだね、今あたしが具合悪くなったりして。
あいつはすぐ来れる距離でもなきゃ、状況も違う。
あたしは一人心細く寝込むのかな。
あいつはいいな・・・家族がいて。
あたしたち、逆になっちゃったね。
いつの間にか。
「早く治ってくれなきゃ、会う時に具合悪いからって事で中止になっちゃうー」
「いやいや、具合悪くても俺は会いに行くけどね♪」
「やだ、高速とか危ないもん」
「健康なりりかの運転より安全だよ」
「何それー」
「具合悪いなんかに負けてられないよ。滅多に会えないんだから!」
早く元気になってね。
で、元気な顔を見せてください。
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