march forward.
りりかの独り言。

2003年05月05日(月) ありがとうの理由

(昨日からの続きです)

山の上に行った帰りに、アウトレットまで足を伸ばしてみた。

実はここへは、2年半ほど前に家族旅行で来た事があった。

車の中で、そんな話をしてた。



あいつが「靴とジーパンが欲しい」と言うから。

二人であちこち見て回る。

あたしが。

「このかごのバック可愛い!可愛くない??」

って言ってたら。

「買ってあげるよ」

って言われたけど。

なんとなく。

ねだったみたいに思えてしまって。

「いらないー」

って言っちゃった。




アウトレットで昼ごはんを食べているとき。

「お父さんたちは何時くらいに戻るの?」

「明日の夜じゃないかなぁ?」

「おばあちゃんは?」

「家でしょ」

「なら・・・夜とか一人になっちゃうって事?」

「ああー・・・そうなっちゃうね」

「一緒にご飯食べようよ、夕飯」

「いいの?」

「いいに決まってるじゃん。一人でなんかあったら怖いじゃん。今日はHの部屋に泊めて」

「うん・・・分かった。ありがとね」



あたしは、おばあちゃん子だった。

小学生の時はほとんどおばあちゃんに育てられた。

あたしの母親の妹たちと暮らしてたんだけど。

みんな結婚して一人になってしまって。

あたしがたまに遊びに行くと。

凄く嬉しそうにしてた。

夕方、帰る時にいつも寂しそうにずっとドアのところで手を振ってて。

夜とか、寂しくて仕方ないんだろうなぁって。

引き取りたいなぁって思ってた。

元だんな様の大反対にあって、却下されたけど。




今生きていたら、あいつのおばあさんと同じ位の年齢。

だからかなぁ。

重ねてしまっていた。


おばあさんにお土産を選んでた時。

あいつが同じ物を二つ買ってた。

「一個はりりかのお母さんに持って行って」

って、渡された。



あたしの母親は。

あいつの存在とか知っているけど。

あたしがこうしてお付き合いしている事も知っているけど。

賛成はしてくれていない。

どうしても「この子のせいで、りりかは離婚した。子供と離れた」と思ってしまうらしい。

時間が立てば、向き合えるかも、とも言ってたけど。


そう言うこと、あいつは知ってる。

きっと、あいつも辛いだろうなぁって思う。




夕方、あいつの家に帰宅した。

おばあさんは、やっぱり凄く喜んで。

「食べてくると思ったし、泊まってくるって言ってたから何もないのよー」

とか言いながら、あれこれ出してくれる。

「いいから、ばあちゃん、座りなよー」

って、あいつが言って。

「だって、せっかくりりかちゃんが東京から来てくれているのに、Hの所に行っても何も出してくれなかった!何て思われたら嫌じゃないのー」

おばあさんと2人で台所に立って、いろいろ作った。



食べながら、3人で話して。

「この子(H)は、なんだか、電話(携帯)のボタンばっかりいじっててねー。食事中でも行儀悪いって私はいつも怒ってるの」

って聞かされたり。(たぶん相手はあたしなんだろう・・・)

あいつの小さいころの話を聞かされたり。

楽しかった。

自分のおばあちゃんと話しているみたいに思えて。



お父さんから電話が来て。

あいつが出て。

「今りりかとばあちゃんと3人で飯食って話してるとこ」

って言ってた。

後から聞いたら。

お父さんが。

「りりかさんに、こんな遠くまでわざわざ来てもらって、ばあちゃんの相手してくれて、ありがとうって伝えて」

って言ってたらしくて。


あたしはあたしで、楽しいから。

気にしないでくださいって言ってね、と伝えた。



九時過ぎて。

おばあさんは寝るからって、あたしたちはあいつの部屋に行った。


「ばあちゃんが凄く楽しそうに話してて、よかった。ホントにありがとう」

「あたしも凄く楽しかった。あたし、おばあちゃん子だったからね」

「りりかがそう言う風に言ってくれて、嬉しい限りです」


その後、いろいろ話したりして。

今日撮った写真をあいつが嬉しそうにコルクボードに貼っているのを見たりして。


ずっと、こうやって話していたいなぁって思ったけど。


明日は5時に起きて、あたしは帰らなきゃならない。

だから、2人で10時には布団に入って寝た。

こっちにいた時に使っていたベットだから、あたしも見慣れている。

なんとなく、あの部屋で寝ている感覚になってた。

でも。

外の音が何もしない事に気付いた。

こっちにいたときのあの部屋は。

大きい道路沿いだったから、絶えず車の音がしていたし。

そういう音を聞きながら寝てた気がするけど。



何も音がしなくて。

あいつの家の庭にある池の水の音がかすかにするくらいだった。

でも、妙に落ち着けた。

他になんか音がするかなぁって、耳を澄ませていたら。

いつの間にか寝てた。



朝。

おばあさんが畑で採ってきたばかりの野菜をたくさんくれて。

2人で見送りしてくれて。

あたしは、帰った。

高速降りてから、あいつからメールが来て。

「今、りりかが持って来てくれた桜が入ってるお茶をばあちゃんと飲んでます。香りがいいねーってばあちゃんも喜んでるよ」

よかったぁって、思った。

昨日桜を見に行って、お土産が桜茶で。

何だか桜三昧なぁって思ったけど。


喜んでくれて、よかったなぁ。




昨日あいつが「ありがとう」っていった理由は。


「結婚とか全く今は考えられないって言ってたから。だから、なんだか不安だったけど。ちゃんと親にもばあちゃんにも会ってくれて。りりかはちゃんと俺との事を考えてくれているって分かったんだ。だから、ありがとね」



ちゃんと考えてるに決まってるのにね。

だからありがとうなんて言わないでいいよ。


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