朝。
元だんな様と子供たちが到着。
元だんな様の車は五人乗りだから、みんなで乗ったらぎゅうぎゅうになっちゃうし。
あたしの車で行く事になってて。
久しぶりに、あたしの車を運転する事になった、元だんな様。
運転は上手な人だから、安心なんだけどね。
車からみんな降りてきて。
あたしの車に乗り込んでくる。
「おはよう」
ライラが最初にあたしに声を掛けてくれた。
次に次女が。
「おはよう。早起きしたから眠いよぉ」
少し照れながら言って。
長女は、やっぱりおっとりしてて。
一度車に乗った後、「あ、ライラのバック忘れた」と慌ててまた車に取りに行き。
「ママ、おはよう」
って、笑ってくれた。
「久しぶり」とか「会いたかった」とか、そう言う会話じゃなくて。
普通の会話で始まった。
車の中の二列目と三列目をフラットにして、子供たちとわいわい話す。
上の子たちの学校の事を聞いていれば、ライラが幼稚園の事を話したがって。
あたしは、いっぺんにみんなの話を聞く羽目になったり(笑)。
しりとりしたり、じゃんけんのゲームを教えてもらったり。
ライラもしりとりのルールをよく分かるようになっていて。
なかなか手強かったりして。
あっという間にディズニーシーについた。
あいにくたまに薄日がさす程度で、肌寒い日。
「全部制覇するんだ!」
次女は意気込んで。
「ママ、一緒に乗ろうね!」
「ライラは怖いの乗らない・・・」
「弱虫ー」
「違うもん。背が足りないんだもん!!」
そんな子供同士の会話を、あたしは笑って聞いてた。
たくさん、乗り物に乗って。
ショーみたいのも見て。
ランチも一緒に食べて。
お土産も買って。
あっという間に、夕方。
「まだいたいよ」
って言う子供たちだけど。
元だんな様は。
「明日は学校なんだから、だめだよ。ママを送って行かなきゃいけないんだし」
ってなだめてた。
あたしまで一緒になって「まだいたいよねー」何て言いたくなったけど。
明日の朝、眠くて辛い思いするのは子供たちだし。
「なら、帰りにどこかでご飯食べて、帰ろう。そうしようよ」
って、あたしが言った。
夕飯を食べて、家についたのは、9時半時近かった。
「荷物持って、車に乗って」
元だんな様が言う。
あたしは、急に寂しくなった。
今までだったら、当たり前だけど。
どこかにお出かけして。
その後はみんなで部屋に入って。
みんなで話しながら、寝るんだよね。
別々の車に乗る事が。
寂しくなった。
次女が「ママのお部屋見たい」と言い出して。
長女もライラも「行きたいー」って言い出したから。
あたしは「だめかな?」って聞いてみた。
もうちょっと、伸ばしたかった。
お別れの、時間を。
「ちょっとだけね。パパは車で待ってるから」
「やったー」
あたしは、元だんな様にちょっと会釈して。
子供たちと部屋に入る。
「別に面白くないでしょ?」
「だって見たかったんだもん」
長女と次女は、狭い部屋の中をあちこち見て。
引き出し開けたり、トイレを覗いたりして。
なんだか、きゃーきゃー騒いでた。
ライラは、あたしの膝の上に、座ってきた。
昔から、変わってない。
あたしの胸に、顔を付けて、指しゃぶりをする。
「眠くなっちゃった?」
あたしが聞いたら。
「ママと一緒にいたい」
あたし、何も言えなくて。
黙ってしまった。
「ママとまた手を繋いで寝たい」
うん。
また、一緒に寝よう。
手を繋いで。
ママが、ずっと見てるから。
ライラが寝るまで、見てるから。
言えなかった。
言いたかったけど。
言えなかった。
「ライラ、もう来年一年生だよね。一人で寝られるようにならなきゃね。恥ずかしいもんねー」
「いつもは一人で寝てるもん!」
ちょっとむくれて、あたしの膝から降りた。
あたしの膝は。
ライラが降りたあとも。
ライラの重みが残ってた。
いつか、迎えに行くから。
心の中で、何度も言って見る。
この重みを。
ずっと感じていたい、と願う。
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