ドキドキしながら、メールを待つ。
残業だと分かったら、6時までにメールするから、そのメールが来なかったら出発していいよ、って言われてた。
3時くらいから、そわそわ。
「凄いドキドキするよー・・・。まだ残業か分からない?」
6時までメールが来ませんように・・・。
そんな風に考えてたら。
5時。
あいつのメール着信音。
ドキーンとした。マジで。
「今、終わって家に向かってる。7時くらいにつくかな」
よかったぁぁ。
ホントに安心した。
手が震えたもん。メール見る時。
あたしも、支度して家を出る。
「6時半にはつきそうだよ。運転気を付けてきてね」
あいつは、仕事帰りに高速なんか普段は使わないのに、使って帰ってきたらしい。
高速降りて、あいつの家についたのは7時半。
ちょっと降りてから、迷ったりしたので、30分ロスしちゃったけど。
なんとかつけて、よかったー。
あいつの家にあたしの車を停めて、あいつの新しい車に初めて乗る。
「誰か乗せるの、りりかが初めてだよ」
話には聞いてたけど、大きいー。
高級車って言う感じ。
広いし、椅子も電動だし。
最近日本酒は禁止してたし、久しぶりに日本酒飲みたいって思った。
だから、お酒買ってホテル行こうよ!ってあたしから言った。
あいつも疲れているだろうし、早く寝てもらってもいいし!って。
けど。
「ううん。まずは連れて行きたい場所があるの」
あいつが連れて行ってくれた場所は、夜景のきれいな場所。
あたしが、こう言うキラキラに弱いから。
「昼間から時間があるときなら、桜のきれいな場所とかに連れて行けるんだけどね」
「ううん、ここもすごくいいー」
高層ビルの展望台から見る夜景。
あいつの住む街は、高い建物がない。
だから、高いビルから見る夜景は、小さい光の点がたくさんあるように見える。
前に見た、池袋サンシャインの、高いビルが立ち並ぶ夜景もきれいだったけど。
こういう、小さい明かりがたくさん続いている夜景も、すっごくきれいなんだなぁって、初めて知ったよ。
あたし、窓にずっとへばりついて、見てた気がする。
見ながら。
「あれはどの辺?」
「東京はどっち?」
「あれは何?」
たくさん、質問してた気がする。
「きれいー。すっごくきれい」
も連発してた気もする。
あいつは笑って、あたしを引き寄せて。
「りりか、抱きしめていい?」
って、聞いて来た。
「人いるよ?」
「いいよ、別に」
あたしを抱きしめて。
いつもみたいに、あたしを抱きしめながら、髪を撫でて。
いつもみたいに、あいつの服をあたしは掴む。
「やっぱり、一番落ち着くよ、こうしてる時が」
って、あいつは言った。
あたしも、同じ事考えてたときだったから。
なんだか、胸が温かくなった。
夜景を写真に撮ればよかったなぁって。
帰り、車に乗ってから気付いた。
残念がっているあたしを見て。
また連れてくるよ。
って、あいつは笑いながら言う。
そうだね。
ってあたしも言う。
これから、何度でも、ここに来るチャンスはある。
あたしが、この人と一緒になったら、ますます来る機会も増えるんだろうなって思う。
何度も何度も見に来れる。
大好きになった、この夜景を。
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