march forward.
りりかの独り言。

2003年03月03日(月) 風船

今日、ライラが通っていた保育園から、電話が来た。

ライラがやめる前までに作った作品やお絵かきを、取りに来て欲しいということだった。

もう、3月。

クラスも来月から上がるから、毎年この時期は、1年間作ってきたものとかを配られる。



職場から車で15分のライラが通っていた保育園。

家からはちょっと遠いけど、職場からは近いから、ものすごく送迎が楽だった。

そんな事を思い出しながら。

久しぶりに、保育園の門をくぐる。




ライラがやめたのは、急だったから。

渡せずじまいだった、と先生は謝ってきた。

今回みんなの分の作品を綴るのに、ライラの分も一緒に綴ってくれたと言う。

ライラの名前が書いてある、ピンクの画用紙が表紙。

名前の下には「進級おめでとう」の文字。

本当なら、来年は年長さんとして、この保育園から卒園して小学校に入学するはずだった。




帰宅して、中を開けた。

4月から9月までの。

ライラの作品たちだった。

ライラはおねえちゃん二人の影響か、女の子や動物を書くのが好きだった。

女の子っぽい絵を書く子だった。




たとえば。

「ウサギを書いてごらん」

と、男の子、女の子にそれぞれ言うとすると。

本来理系の男の子は「ウサギは目が赤い。尾は丸くて・・・」と、実写的に書く。

文系の女の子は「ウサギさんがお洋服を着ているの」と、二本足でリボンとかを付けて立っているウサギを書くと言う。

でも、ライラは「お洋服を着ているウサギ」だった。




本当に女の子っぽい子だったから。

心配してた事もあったけど。

「優しい子なんだから、いいじゃん」って思ったりした。




一枚の絵が、目に止まる。

人物5人の絵。

先生が加え書きをしてくれたらしく。

「パパ・ママ・○○(長女)・○○(次女)・ライラ」

とあった。



家族五人の、絵だった。

絵の中のあたしたちは。

それぞれ違う色の風船を持っていて。

本当に、上手に書けていて。






なんだろう。

凄く、悲しくなった。

ライラが書きながら話している様子が、目に浮かんで。




「ママはね、赤が好きなの。だから赤い風船なの。パパは男だから、青。ライラは水色が好き。お姉ちゃんたちはー・・・」







この作品。

あたしが持っててもいいよね。

自分に、聞いてみる。

あたしが、持っていたい。

どうしても・・・。

だから、元だんな様には、内緒にする事にした。




その絵を。

携帯のカメラで撮って、待ち受けにした。




本来なら。

この絵のままの、家族五人の状態でいなければならなかったんだ、という事を。

忘れてしまわないように。


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