march forward.
りりかの独り言。

2002年12月09日(月) 雪・・・。

朝起きて携帯を見る。

あいつからバイトの休憩中にメール来てた。

受信時間はAM1時。


「こんなところで初雪見たくなかったよー」


え?

あわててカーテンを開ける。

真っ白。

まだまだ降り続いている。



とにかく支度をしなきゃ、と用意を始めているとき、あいつからの着信音。

「もしもし?」

「今さっき終わって、駅まで来たら、電車止まってるし、凄い人だし・・・歩いて帰るよー」

「大丈夫???」

「平気平気。りりか、銀行俺が運転して連れて行くから、待ってて」

「いいよー、平気だよ」

「だめだめ。俺の車スタットレスだから、俺の運転で行く。何かあってからじゃ遅いの!」

「だって、寝て無いじゃん、しかも歩いて帰って来てるんだよね?」

「タクシーでもどっかでつかまえるから。とにかく待ってて」

「うんー・・・」




仕事中、メールが来た。

「銀行に行く時間に間に合うかなぁ。タクシーが全然いないんだよー」

「だから、あたし行くって。行けるって。大丈夫だよ」



店頭の雪かきをして。

銀行に行く時間になって、やっぱり間に合わないよね、と思って自分の運転で行こうと思ったら、電話。

「今家を出たから。待ってて、あと15分くらいかな」

「えー、いいよー、今行こうと思ってたの」

「もう出ちゃったんだし。待ってて!」



あいつはこの雪の中を飛ばしたんだろうなぁって速さで来て。

「間に合ったー」

と笑顔で言った。

「ありがとね・・・寒かったね」

「いやいや、寒さより、時間との戦いだったね!やべー、間に合わない!って」

あたしがあいつの顔を見ると、鼻が赤くなってて。

目が合って、いきなりキスされた。

昼間っから!


「!!!何!?」

「お礼としてもらいたくなったの」

「はー?」

「さー、りりかを送ったらりりかのところで飯食って、学校行くぞー!今のですげー元気出たし」

「安上がりー・・・」





雪はどんどん降って来て。

前が見えないくらい。

「今日は出かけられないね・・・」

「うん、ならあたしが君の家に行こうか?」

「バカ!なんで夜の凍っている道をわざわざ来させるんだよ。俺が行く」

「どこに?」

「りりかの家」

「え?で?」

「一緒に過ごすんでしょ、1年目」

「うんー・・・」

「何で?嫌?」

「嫌じゃないけど・・・」


そしたら、うちに泊まるんだよね?

って言う言葉は殺して。

いいんだけど・・・ね。

なんだか、泊まらせるのって、なんだか・・・と思ってしまう。

それを察したらしくて。

あいつは。


「なら、今日は運転も危ないし、二人とも家でゆっくりメル友になろうか?で、明日天気がよかったら、明日でかけようか?」

「うん、そうだね。明日にしようか」



ちょっとホッとする、あたしがいた。

ごめん、なんとなく、泊まらせるって事に軽い抵抗があって。

具合が悪いときとか、そう言うときに結果的に泊まった事はあったけど。

あたしが泊まりに行く分には抵抗ないのになぁ・・・





夜は、いっぱいメールした。

眠くないの?

って聞いたら、学校で寝たからねーって返事。

何しに行っているんだか・・・。




雪は夕方でやんで。

夜には雨になったせいもあって、ほとんど溶けちゃってた。

あたしは、1年前の事を、いろいろ思い出してた。



今と、あの時と。

どっちが幸せか?って聞かれたら。



比べようも無い。

と、思った。

ただ。

ここまで誰かに愛される。

こんなに他人を愛せる。

そんな感覚は、きっと、あいつと出会ってなかったら、知りようが無かったから。



知る事が出来た分。

幸せだと思おう。


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