あたしの体に、妊娠線がある。
妊娠線っていうのは、子供産んだときに急激に太ったせいで出来る、肉離れの後みたいなもので。
あたしは、昔から痩せていて、長女を妊娠したとき一気に20キロ近く太った。
で、胸とおなかと太ももに、妊娠線が出来た。
胸と太ももは、凄く薄くて、気にしなきゃ分からない程度なんだけど。
お腹のは、結構目立つ。
だから、あたしはエッチするときも絶対に明るくしないし、お風呂も嫌だって言う。
理由なんかいわなかった。
「恥ずかしいから嫌なの」
て、ずっと言ってきた。
ある日、「どうしてもだめ?どうしても一緒にお風呂に入らない?」て、しつこく聞かれた。
「どうしても嫌」
「なんでー?」
「恥ずかしいからだよ」
「何が恥ずかしいの?胸が無い事?気にして無いよ」
「それもあるけど・・・」
あたしは、かなり一大決心で。
「妊娠線があるの」と言った。
「妊娠線?」
「妊娠すると、急激に太るでしょ?それでね・・・」と、あたしは説明した。
「見たい」
「嫌だって!」
「どうしてー?」
「何でも」
「じゃ、触らせて!」
「はぁ?」
「今まで、お腹なんか触ってたけど、全く知らなかったし。どこにあるの?」
触るだけなら、いっか、と思って。
あたしは、「この辺」ってあいつの手を自分のお腹にあてた。
「なんとなくある、これかなぁ?」
「たぶん、それだよ」
あいつはずっとなでてたけど。
なんとなく、妊娠線を触られている自分って言うのが、バカっぽく感じて。
「はい、おしまい。これが理由。分かった?」
って、あいつの手を押し戻した。
「気にする事、ないのに・・・」
て、ぶつぶつ言われたけど。
最近、よく思う。
あたしは、愛されている。
そんなのは、前から分かってる。
そうじゃなくて。
最近よく思うのは。
あたしは、やっぱりもうすぐ三十路の体だって事。
どんなに見た目が若いって言われても。
やっぱり加齢は避けられないから。
肌だって、くすんでいる気もするし。
不規則な仕事のせいで、表情は疲れているし。
肩は凝るし、腰は痛いし。
生理が来ないせいで、肌荒れもしているし。
あいつとの年齢差は5つ。
これって、あたしにとってはものすごくでかい。
で、最近よく思う事。
あいつの友達の彼女とか、学校の子とか、周りにはいっぱい若い子がいて。
今は、「りりかさんは平気。28歳には見えないし、大体年なんか関係ないよ」って言うけど。
いつか、あいつの友達の彼女とかが若くて、綺麗で。
そういう子たちと比べられたりしないかなぁ。って。
もちろん、見た目だけじゃない。
分かってる。
けど、「いいよなぁ、お前の彼女は若くてー。俺の彼女?30歳超えたよー」なんて、言われたりしたら。
あまり、深く考えても仕方ないのにね。
年齢差だけは、どうしたって埋まらないんだし。
なんだろ。
あたしが離婚した事によって、余裕がなくなったのかな?と思ったりする。
こんな風に考えた事、無かったから。
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