風邪はだいぶよくなってた。
あいつから「公園に行かない?」と誘われる。
「うん、いいよ」
久しぶりの休みだったし、どこか行きたいね、と話してて。
二人で公園に行った。
急だったから、お弁当とか作れなくて。
おにぎりだけ、急遽作って、おかずは買った。
向かった場所は芝生の公園。
広くて、斜面になってて。
子供たちがダンボールに座ってそりみたいなことしてた。
「あれ、やってみなよ」
あたしが言ったら、
「恥ずかしい・・・やってみたいけど」
とか、いうあいつ。
太陽がいい感じで出てて。
あたしは寝転がって、うとうとする。
あいつはあたしの隣でボーっと遠くを見てる。
「幸せだね」
突然言うあいつ。
「何、いきなり?」
寝転がったまま、あたしは聞く。
「何だか。こうして一緒にいる事が」
あたしは、頷くだけ。
そんな、ゆっくりな時間の流れ。
お日様がゆっくり傾いても。
あたしたちは、そのまま、寝転がって。
「手が、冷たいなぁ」
あたしの手を、自分の両手で包んでくれる。
あたしがあいつをじっと見る。
あいつはそれに気づいて、恥ずかしそうにする。
「何?」
「ううん、Hは優しいなぁと改めて思って」
「はぁ?」
「いいの。気にしないで」
「ちょっと寒くなってきたし、もう行かなきゃね。病み上がりなんだから」
あいつが、あたしの腕を持つ。
あたしは、ずっとここにいたいような。
そんな感じだったんだけど。
歩きながら、あたしはいっぱい話した。
なんか、どうでもいいような話。
あいつは「うんうん」って笑顔で聞いてくれる。
あたしが話しながら思い出して怒ったり、笑ったり、そういうのを、満足そうにみてる。
あたしが咳すると、すぐに背中をさすって、また話を聞いてくれる。
「あたし、あなたが、好き」
いきなり言ってみる。
あいつは、最初真顔になって。
すぐにいつもの笑顔になって。
あたしの頭をなでながら。
「俺も。ありがとね。好きでいてくれて」
本当に、好きだなぁって。
思ったんだ。
毎日急かされているみたいな、時間の流れの中にいるあたし。
たまの休みだからって、あれしなきゃ、これしなきゃって、いっぱい用事を詰め込んじゃって。
そういうの、あいつは知ってて。
こういうゆっくりな時間をくれて。
あたしは、あなたが、大好きです。
あなたも、あたしを、大好きでいてくれて。
ありがとね。
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