march forward.
りりかの独り言。

2002年11月01日(金) 優しさ・・・

学芸会。



あいつに送ってもらって、来た。

「平気?ふらふらしてない?」

「うん、ありがと。平気だよ」

「じゃー、俺、その辺のファミレスかなんかで待つから。終わったら連絡ちょうだい」



あたしが知らない学校。

ここで、子供たちは勉強したり、友達と話したりしているんだなぁと。

あたしが知らない生活をしているんだなぁと。

門をくぐる時、思った。






あたしは、会場の一番後ろの席に座った。

だんな様は・・・と見回すと、見つからなかった。

そうだよね、こんな人ごみの中。






次女の劇が始まって。

あたしは、食い入るように見てた。

そのとき、「あ、○○(次女の名前)ちゃんだ!」と言う声がすぐ近くでした。

え?と思って、声の方を見ると、ライラがだんな様に抱っこされて見てた。

こんな近くにいたんだ・・・


あたしは、すぐ近くだし、声を掛けようか悩んだけど、約束だし、やめておいた。

見つからないように、場所を移動した。

向こうからは見えそうもない場所から、次女とライラを見てた。



長女の劇は次女のすぐ後だった。

だんだん飽きてきたライラを、だんな様がなだめたりしてた。

ああ、そんなときは、ライラの好きなタオルを持って来てれば、おとなしくなるのにぃ・・・とか、あたしは、はらはらしてみてる。







劇も終わって、全校生徒で合唱をした。

大きな古時計。

この曲、流行っているもんね・・・









終わりの言葉を代表の子が言って、父兄たちも出て行く。

あたしは、ボーっとしたまま。

立ってた。

1ヶ月ぶりに会った(見た)、子供たちは。

たった1ヶ月なのに、凄く成長したように見えた。

声を掛けられなかった事は、残念だけど。

会えただけ、写真じゃなく、実物にあえただけ、感謝しよう。

あたしは、車に乗り込むだんな様に、遠くから「ありがとう」って、心の中で言った。







家に帰る途中、だんな様から電話が来た。



「見れた?」

「うん」

「ライラも、見れたでしょ?」

「うん・・・知ってたんだ?」

「わざと、りりかの傍に行ったんだよ。でも、ライラには気づかれない程度の距離に」

「・・・そうだったんだ、ありがと」

「まだ、やっぱり会わせられないよ。整理がつかない」

「うん、分かってる」

「悪いな」

「ううん・・・」







悪いのは、あたしだもん。

謝らないで、ください。

あなたは、当然の事をしたんだから。

あたしが逆でも、同じだよ。

むしろ。

そんな、優しい言葉、掛けられない。

わざと、近くに来るなんて、そんな優しさ、あたしにはない。







電話を切った後、不思議な、気持ちになった。


あたしは、充分。




幸せなんだって。



なんとなく、そう思った。


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