march forward.
りりかの独り言。

2002年11月03日(日) 風邪

今日は、朝10時から夜12時まで仕事。

あいつから「朝からだるいです」というメールが来たきり、夕方まで来なかった。

心配になって、夕方の休憩で電話する。



「平気ー?」

「ああー・・・まぁまぁ」

「平気そうじゃないねぇ。あたし、仕事抜けられないし・・・終わったら様子見に行くから」

「いやいや。りりかさんも病みあがりだし、今日は仕事が長時間なんだから、帰って寝てください」

「だって、心配じゃん?」

「気持ちだけで・・・いいです」



すごく、苦しそうだったから、電話は切った。

行くつもりでいたけど、よく考えたら、あたしが行ったらゆっくり眠れないから、嫌かな、とか思ったりした。

どうしようかなぁ、って思ってた。



仕事終わって、やっぱり心配だし、様子見てすぐ帰ろうと思って、ヨーグルトとお茶とゼリーを買って行った。

寝てたら・・・と思って、チャイムは鳴らさないで入った。



そしたら。


あいつは、フローリングの上で毛布にくるまって、転がってた。

あたしはびっくりして。



「何してるのよー!!」

「あ・・・びっくりした。来てくれたんだー?水飲みに台所まで行ったら、ベットまで歩くのだるくて・・・」



あいつを抱えてベットに運ぶ。

「すいません」とか何度も言うあいつ。

もともとは、あたしが移しちゃったんだろうからねぇ。



「なんかいる?お茶?ヨーグルトもあるし」

「いえ、お茶だけください」




一気にお茶を飲み干して、「寒気がする・・・」とベットに潜り込んだ。

「あたしは、帰るね、寝てね」

「え・・・。いてくれないんですか?」

「だって、寝れないでしょ?」

「いてほしい・・・」

「わかったよ。いるから、寝て」



あいつはマスクをして、布団をあげる。

「ここに来て、一緒に寝て。マスクしてるから、移らないよ」

あたしは、言われた通りに横に寝る。

いつも、あいつがしてくれるみたいに、頭を抱え込んで、よしよしして。

背中をとんとんした。



そのうち、あいつは寝ちゃって。

マスクは息苦しそうだし、はずした。

あたしがベットから出ようとしたら、服をしっかり捕まれてて。

外そうにも外れなくて。

あたしは、諦めて、そのまま、横に寝た。




夜中に何度も苦しそうな咳をする。

あたしは、背中をさすったり、軽く叩いたりして。




「こうしてると、すげー、安心する・・・なんでだろ」

「何?起きたの?」

「うん・・・なんかね、すごーく、気持ちいい」

「そかそか、分かったから、寝なさい」

「うん・・・このまま、朝までこうしててね」




あたしは、背中をさすって、また寝かしつける。

こうして、子供たちの事も、同じようにしてきたな、と思う。



今、もしも子供たちは、風邪を引いたら、誰にこうしてもらうんだろう。



なんて、また、考えてしまう。



よそう。

もしも、とか、そう言う考え。

あたしは、あたしの人生を自分勝手に進んで行くと決めた人間なんだから。

今更、考えたって、仕方ないんだから。






あたしが手に入れた幸せの証の子供たちを。

自分から手放して。

今、こうしてあいつを抱きしめてる。




この、幸せだけは、手放したらいけないんだよ。





ぼんやりと、あたしは明るくなってくる空を見る。


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