明け方、夢を見た。
あたしはあいつの車の助手席に座ってて。
「肺が痛いの」と言っている。
あいつは、運転しながら。
「あそう」
とだけ言う。
あたしは、悲しくなって。
「痛いんだよ」を連発する。
あいつは、それでも「分かったよ」だけ言う。
「ねぇ、頭なでて」
あたしが頼むと、めんどくさそうに、頭をなでられる。
あたしは、そのてを払いのけて、走っている車から飛び降りるんだけど。
その辺から記憶があやふやで、余り覚えてないけど、泣いていた。
目を覚ましたら、本当に頬が濡れてた。
きっと、熱のせいもあるんだろうけど。
夢の中にいたあいつの行動は、昔のだんな様そのまんま。
ごっちゃになっちゃったのか、そう変わってしまうあいつが怖いのか。
「おはよう」
あたしがボーっとして布団の上で座ってたら、あいつが声を掛けてきた。
そか、あいつ、泊まったんだ・・・と、現実に返る。
おでこに張ってあった熱さまシートをはがして、手をあててくる。
「まだ、ちょっと熱い気がするなぁ。計ってみなよ」
熱は37度。
平熱が低いあたしにとって、かなり高目と言える。
「仕事は何時から?」
「八時から・・・」
「あと3時間かぁ。下がらないだろうなぁ」
「平気、昨日は38度あっても働いたんだから」
「変わり、いないの?」
「今日は月末だから、棚卸があるから、無理なんだ」
暖かいお茶を入れてくれた。
りんごをおろしてくれた。
「はい、あーん」
「やだやだ、自分で食べるよ、恥ずかしい」
あたしは出勤の用意して、あいつは学校の用意して。
お互いに自分の車に乗って、別れた。
仕事を何とかこなして。
帰宅したのは夕方六時。
吐き気が凄かった。
昨日は、吐き気なんかなかったのに。
部屋ですぐ布団に入って、明日のためにも、と寝る事にした。
でも、吐き気が治まらず、何度もトイレに行ったりした。
その間、あいつから電話もメールも来てたけど、出る事も見る事もする気力がなく。
はぁはぁいいながら、寝込んでた。
そして、また、何だか忘れちゃったけど、嫌な夢見て。
起きて、吐いて、寝て。
そんな繰りかえしのとき、チャイムが鳴った。
ちょうど、トイレで吐いてきた後だったから、インターホンに出れた。
出て見たら、いっしょに働いている友達で。
「りりかー!なんでこんなになるまで一人でいるのよー!!」とか言われて。
「電話したり、そう言う気力がなかった・・・」と言って、また寝た。
また吐き気で目がさめて。
友達は帰ってて、あいつがいた。
友達は主婦だから、遅くまでいられないから、変わりに呼ばれたらしい。
トイレで背中をさすってもらって、吐く姿を見られるなんて、情けないなぁとか思って。
「明日、行くの?」
「行く」
「俺運転するから。連れて行くから」
「いいよ・・・」
「いや、無理だよ、自力で行くのは。俺はりりかさんをおろしたら、どこかで待って時間潰すから」
「いいってば・・・」
「だめ。絶対に、だめ」
言い返す気力がないから、うんうん、とうなずいて、布団に入った。
ずっと、頭をなでられてた。
それから、吐き気が来なくなった。
そして見た夢は。
子供たちが、学芸会でなんか演じてて、あたしはあいつと笑いながら拍手している夢だった。
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