朝、病院(今日は婦人科の検査の日)に行く前、だんな様から電話があった。
金曜日の事で。
「子供たちに話し掛けないなら、来てもいい。ただ、子供には前に話した通り、ママは仕事だと言うから、来なかった事にして」
それでもいいと思った。
子供たちの頑張る姿をみたいだけだから。
もちろん、話したりもしたいけど。
それだけでも、嬉しい。
なんて、強がったけど、かなり、かなーり、凹んだ。
やっぱり、会って話して、感想とかいいたいからね。
病院では、「生理が来なきゃねー」といつもどおりの検査結果。
そして、病院が終わり、一人でランチしようと思ってたら、あいつから電話。
「病院、どうだった?」
「変わりない」
「そっかー。今日は午後が休講になったから、ランチ一緒にしてもいい?」
「うん、いいよ、場所はー・・・」
少し待って、あいつが来た。
ランチを一緒に食べる。
余り食欲なんかなくて、ほとんど食べてもらったんだけど。
「ねぇ。なんかあったでしょ」
「なんで?」
「なんか、おかしい。病院で何か言われた?」
「言われてないよ、いつもどおり」
「じゃー、どうした?」
「何もないって!ねー、天気がいいから、どこかに行きたいね」
「そうだねー。じゃー、ドライブ行こうか」
車を走らせて、あてもなく、出かける。
ガソリン入れなきゃ、と言うあいつに、どこまで持つか、止まるまで走る?とか提案したり。(もちろん、却下)
「そうだ、夕焼け見ようよ」
あいつが言う。
「どこの?」
「前に行った、夜景の綺麗な公園の。病院の後だから、歩くの辛い?」
「ううん、見に行きたい」
車停めて、歩く。
ちょっと急な坂で。
前に来たときみたいに、手をつないで歩く。
まだ、時間的に夕焼けじゃなかった。
青空。
芝生の上で、ボーっとする。
犬が走ってて、その犬を子供が追いかけていた。
遠くで、お母さんらしき人が、笑顔で見ている。
あたしも、ああいう笑顔してたのかなと、ふと、ちょっと前を思い出す。
「学芸会があってね。子供が招待状をくれたの」
「よかったじゃん!」
「でもね・・・」
話し始める。
だんな様に言われた事。
最初はやっぱりだめって言われて、でも、子供に会わないならいいよって言われて。
嬉しいんだけど、悲しい。
自分の子供なのにね。
遠くから見るだけなんだって。
今、だんな様と子供たちは、あたしがいない生活に慣れようとしているから。
だから、会う事はだめなんだ。
子供たちを手放したのは、あたしだし。
それがいいと思ってした事なんだから。
だから、あたしにあわせないって言う、だんな様の気持ちも、分かるんだ。
あたしが逆の立場だったら。
電話と手紙だって、拒否したかもしれない。
それくらい、ひどい事、しちゃったんだから。
「だから、それだけでも、感謝しなきゃ、なんだよね」
あいつは、黙って、聞いてたかと思ったら。
涙ぐんでて。
「ごめん、ごめんね、りりかさん」
って、鼻声で言った。
「謝らないでよ、きみのせいじゃない」
「もっと、俺がしっかりしてたら・・ね」
「そんなことないよ、一番いいと思った結果なの。ね」
やっと、夕焼けが出て来て。
あたしたちは、黙って見てて。
だんだん、夕焼けの色と夜の色が交わって来て。
夜が来る。
明けない夜はない。
悲しい事ばかりじゃない。
きっと、これから、楽しい事だってたくさんある。
だから、前向きに、ね。
君が手をつないでくれる限り。
あたしは、幸せでいられるんだから。
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