早朝から仕事だった。
今日は月曜っていう事もあって、なかなか忙しく。
あたしは、仕事に没頭してた。
そして、やっと取れた休み時間。
あたしは、来月の勤務シフト表を作りながらだから、休み時間ではないんだけど。
「あー、疲れたぁ。嫌になっちゃうなぁー・・・」
とか、バイトの主婦の人に愚痴ってた。
「りりかは、変わったね」
「何が?」
「なんていうか、いろいろ内面を見せてくれる」
「そうか?」
「うん、弱音を言うようになった。笑うようになった。それって、H君の影響なのかなぁ?」
「あたしはあたしだよ、変わってないよー」
「そりゃそうだけど。なんか、りりかは女っぽくなったっていうか、なんだか、人間っぽくなった気がする。感情を出してくれるようになった」
あたしは、すぐ弱音を口に出すようになった。
何でも、自分でやり遂げて見せる、と言う性格だったのが、誰かに助けを求めるようになった。
それは、いい事なんだろうし。
彼女も褒めてくれているのかもしれない。
「あたし、変わった?」
メールする、あいつに。
「いきなり何?」
そりゃ、そうだ。
「変わったのかなぁって思ったから」
「うーん。言われて見れば変わったかなぁ」
「どんなとこ?」
「強がらなくなったよね」
あたしは人前で泣くようになって。
あたしは人前で落ち込むようになった。
前なら、考えられない。
一人の時間に泣いたり。
一人の時間に落ち込んだり。
そう言うのがあたしだった。
だんな様は、泣いたり、凹んだりするあたしが嫌いだった。
「りりかはそんな弱い人間じゃないだろう」
よく言われた言葉。
だから、あたしは一人で夜中に泣く事を覚えて。
凹んだ事を一人で、考えて外には出さない事を覚えた。
夜中に泣いているあたしをたまに見ても。
知らん顔してた。
絶対に、声も掛けない。
あたしがそこにいないかのように、見なかった。
けど、あいつは、あたしが泣く前に気づく。
そして、「どうした?」って、声を掛ける。
「もっともっと、寄りかかっていいよ、嫌な事言ってみなよ」
って、あたしが泣き止むまで頭をなでる。
そういうのが、心地いいものなんだって、始めて知ったんだ。
人前で泣くこと、凹む事。
そういうのは、恥ずかしい事だと。
弱い、だめな人間がすることだと。
そう言う風にあたしは勝手に思ってきた。
でも。
決して、恥ずかしい事ではない。
だめな人間でもない。
人間だからこそ。
そういう感情を出すんだ。
そして、そういう感情の出し方を。
教えてくれて、ありがとうね。
|