朝から引越しだった。
バイトの子たちと友達と、みんなで手伝ってくれた。
昼前には終わって、そのままランチにして、夕方夕飯みんなにをおごって。
あいつは呼ばなかった。
なんとなく、みんなとワイワイいたかったから。
みんなと別れた後、一人で自分の部屋で、やっぱり不思議な感覚になった。
周りにある家具とか、見慣れたものに囲まれているのに、何だか違う雰囲気で。
模様替えとかしたときとは違う。
何だか、変な感じで。
すごく、不安になった。
ここで、あたしは、暮らして行くんだってことに。
一人で、やって行くんだって事に。
「寂しくない?」
メールが来た。
相手はあいつじゃなく、だんな様だった。
だんな様の引越しは日曜日。
子供の荷物とか机とか運ぶらしい。
「寂しくないって言ったら嘘かな。何だか、一人の夜って怖いね」
「りりかは、怖がりだからなぁ。一人でトイレ行くのも怖がってたじゃん、夜中は」
「でもそのうち慣れるでしょ、そう言うのも」
「慣れなきゃね。自分で決めたんだから。彼は来ないの?」
「今日は一人暮らし記念だから、一人でいたかったの」
「そか。泣くなよー!」
「泣かないよ!!!」
あたしは、なかなか眠れなくて。
寝返りを何度もうったりして。
枕を裏返したりして。
一人になって、始めての夜は、眠れないまま過ぎた。
あたしはやっと、今頃。
「離婚したんだ」
と思った。
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