昼間部屋に行った。
あたしの、新しい部屋。
買い物して、電気もつけた。
夜来ても平気だね。
部屋の掃除をしてたら、あいつから電話が来た。
「今日休みでしょ?今何してるんですか?」
「新しい部屋の掃除」
「あー!そか、引越しもうすぐだっけ?」
「うん」
「手伝いに行ってもいいですか?」
「引越し?」
「じゃなくて、今、掃除」
ちょっと迷った。
別にあいつを入れる気はないとかじゃないけど。
まだ、あたしとここを紹介してくれた友達以外入った事のない部屋で。
ちょっと、迷った。
「男手があったほうが、何かと役に立つと思うんだけど」
確かに天袋とか掃除しようと思っても、椅子に乗ってもなかなか難しかった。
あいつなら、らくらく出来そうだな。
それに、そんなにこだわる事もないんじゃない?
とか、一人で考えて。
「うん、じゃーお願い。場所分かるよね?」
あいつは、昼ごはんを買ってきてくれた。
テーブルとかないよ?ってあたしが言ったら、膝に乗せてピクニックぽく食べようよ、と言う。
「お客さま、第一号だ」
あたしが、言う。
そしたら、あいつが首を振る。
「お客さまって言う扱いは、なんか嫌だなぁ」
だって、お客さまじゃん。
ここの住民じゃないんだし。
でもね、俺はりりかさんがうちに来ても、お客さまとは思ってないよ。
なんだろ。
たまに来る、同居人?(笑)
でも、やっぱり、あたしの中ではお客さまだと思った。
それと、不思議な感覚になった。
今までは会うのは、あいつの部屋か外。
あたしの住む場所で会うなんて事、ないと思っていたから。
だから、不思議な感覚だった。
いろいろ掃除してくれて、買い物にも付き合ってくれた。
やっぱり、あたしだけじゃ大変なことも、あいつがいてくれると助かったりする。
だから、あたしは素直に「ありがとう」を言う。
来てくれて、ありがとう。って。
「いつでも、呼び出してね」
あたしの新しい生活の中に。
あいつはいないと思う。
これから始まる、あたしの生活の中に。
いないっていうのは、別れるとかじゃなくて。
なんていうか、うまく言えないけど。
一緒に共同で進んで行くのじゃないと思う。
あたしはあたしの。
あいつはあいつの。
道が違う。
そう言う風に思う。
ずっと先で交わるのかもしれないけど。
今くらいの、距離があたしには心地よい。
付かず、離れず。
そんな距離。
あいつはきっと、べったりしていたいんだと思う。
そして、あたしも心の奥底で、それを望んでいるのかもしれない。
でも、出来ない。
べったり一緒に生活。
そんなのが今は出来ない。
出来ないのは、きっと、あたしが傷つけた人たちの事を考えるから。
自分だけ、幸せになっていいの?
最近、よく思う言葉。
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