携帯に知らない携帯の番号で、着信があった。
仕事が終わってから、着信履歴に残っているのを確認した。
なんだろ、とは思ったけど、掛け直さなかった。
夜、お風呂から上がったら、携帯がなってた。
あいつかと思って見たら、夕方見たのと違うしらない携帯番号。
誰かな・・・と思って、出て見た。
「もしもし?」
「あ、つながったー」
次女の声だった。
「どうしたの?誰の携帯??」
「私のだよ!」
「え?」
「お姉ちゃんも買ってもらったんだよ」
夕方の番号は、長女の携帯だった。
お舅さんが買ってくれたらしい。
あたしと好きなときに電話が出来るようにって。
あたしは、感謝してもしきれなくて・・・
涙が出てしまった。
「おじいちゃんに、お礼言ったの?」
「うん、言ったー。嬉しいー」
前々から、ませている次女は携帯を欲しがってた。
でも、まだ必要ないって取り合わなかった。
長女はどっちでもいいよーって言う感じだった。
でも、今度は長女の携帯から掛けなおしてきて、そのときの声は凄く嬉しそうだった。
本当は欲しかったんだね・・・。
ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます。
こんな、どうしようもない嫁だったあたしを、気遣ってくれて。
子供たちのためだとは言え、あたしとのつながりを作ってくれて。
「嬉しいね」
「ママも嬉しい?いっぱい電話出来るし?」
「うん、嬉しい。ママからも電話するから」
「うん!してね、絶対ね」
「でも、学校に持って行ったらだめだよ」
「うん、おじいちゃんも言ってた。約束したから平気だよ」
「あと、むやみやたらに、使わないこと。携帯って高いんだからね」
「分かってるよー。ママとパパとおじいちゃんの家の番号しか掛けられないんだってー」
「そんなのあるんだ?」
「そうみたい」
やっぱり、だんな様の実家に電話する事は気が引けた。
だから、子供たちから掛かってくるのを待つくらいしか出来なかった。
でも、こうして、あたしが気軽に電話できて、子供たちも気軽に出来るようになって。
本当にありがたい。
「夕方、出られなくてごめんね、お仕事だったんだ」
「お仕事じゃない?っておばあちゃんも言ってた。それでおばあちゃんが今なら電話したらいるんじゃない?って言ったから電話してみたの」
あたしは、驚いた。
お姑さんがそんな事を言うなんて。
驚いた。
大丈夫だ。
何も心配する事はないんだ。
あの家で育ててもらったら。
きっと、子供たちは素敵な大人になるんじゃないか。
心から、そう思える。
よかった。
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