march forward.
りりかの独り言。

2002年09月29日(日) 靴下

上の子供たちに意見を聞きました。

一番上の子はもう11歳です。

真ん中の子は9歳。

あたしたち夫婦の、意見を言って、それに対してどう考えているか聞くくらいなら、いいかな、と思いました。



上の子は、こういいました。



本当はパパともママとも一緒にいたい。

でも、ママはパパよりも好きな人が出来ちゃったんでしょ?

だから、一緒にいるのはだめなんだよね。

でも、どうして、好きな人がいたら、ママとパパは離婚しなきゃならないの?

ママがパパの事を好きになったら、また一緒に暮らして、それまではパパのところにいる。





真ん中の子は、こういいました。


私たちがいると、ママはお仕事をもっと頑張らなきゃならないんだよね。

おばあちゃんがこういったの。

私たちが大きくなってから、ママの所に行ったら?って。

私はそれでいいと思ったの。

それにママにも会いたいときに会っていいって。

だから、私はパパと一緒にいる。

それに、転校して見たいんだー。




2人とも、お姑さんにいろいろと言われてきたのかな、と思わずにはいられませんでした。




なによりも。

子供たちなりに、あたしの事を必死で気遣ってくれている事が、あたしは苦しかった。



「ママがあなたたちと一緒にいたいって言っても、パパの所がいい?」




2人は黙ってました。




しばらくして、ライラが、

「ライラね、ずっとおじいちゃんのおうちにお泊りするんだー。保育園も行かないでいいんだってー。おじいちゃん、お菓子いっぱい買ってくれるんだよー」

と言って来ました。

ライラがあたしのひざの上に乗ってきたとき、ふと、ライラの靴下に目が行きました。

あたしが見たことない靴下でした。

「どうしたの?これ」

と聞くと、

「おばあちゃんが買ってくれたの。前のね、穴が空いてたの」








あたしは、小さいころ、貧乏でした。

苦しい、貧しい生活で、服もろくに買ってもらえませんでした。

靴下や下着さえも。

不憫に思った同級生の子のお母さんが服をくれたりしたほどです。



靴下の穴が空いても、それを縫ってまた履きます。

違う場所に穴が空いてもまた、縫います。

靴下は変形して、どんどん小さくなって行きます。

あたしは、それが恥ずかしかった。

あちこち縫い合わせた靴下が、恥ずかしくて、友達の家に上がるときなど、躊躇してしまっていました。




子供たちには同じ思いをさせたくない。

トラウマなんでしょうね。

靴下だけは山ほど買い与えて、ちょっとの穴でも捨てさせていました。

あたしの母などは、「もったいない」といいますが、あたしは絶対に穴の空いた靴下を縫ったりして履かせるのが嫌でした。






でも。

ライラが言った言葉。


「靴下穴が空いてたから」


あたしは、気づかなかった。

そんな事も気づかなかった。

子供の靴下に穴が空いている事さえも気づかなかった。

洗濯物を干すときに、毎回チェックして、穴が空いてたり空きそうなものは捨てたりして、捨てた数の倍以上の靴下を補充して。

でも、最近はそういうチェックもちゃんとしていなかったように思える。

子供たちに口でだけ言って。

「穴が空いているやつは捨てておいてね」と。

もしかしたら、実家に行っている間に空いたのかもしれない。

もしかしたら、本当に小さい穴だったのかもしれない。


でも、あたしは、気づかなかった。

見てなかったんだ。




あたしは、結局子供を見てなかった。




この八ヶ月間。

見ている振りをして。

子供たちをしっかり見ていなかったんだ。



見れなくなっていたんだ。

あたしの頭の中から、家庭と言う言葉が、消えていたんだ。

今まで、えらそうな事を、いろいろかいてきたくせに。







だから、あたしは決めました。

この日記が縁でお友達になった方からメールも頂きました。

子供は母親と一緒にいる事が一番なんだよって。



でも、こんな母親はいりません。

あたしは、もう母親じゃなくなっていたんです。

あいつの事ばかり、あいつとの生活ばかり夢見て。

子供をこれからちゃんと見て行けるの?と聞かれたら。


「絶対に大丈夫」と言い切れる自信がなくなってしまいました。



あたしは、夜中。

子供たちが寝てから、だんな様に伝えました。



「子供たちを。よろしくお願いします」


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