だんな様に電話した。
「月曜から学校があるんだけど、いつ帰って来るの?」
「明日の夜には帰るよ」
「今日は帰って来れないの?」
「映画見に行くんだって。オヤジと」
「そうか。・・・寂しがってないの?ママに会いたいとかって」
「全然。むしろ楽しんでいるみたいだよ」
言い方がかなり嫌な感じだった。
勝ち誇ったような、感じ。
「言わないだけかもしれないじゃん」
「そんなことないだろ。ライラも全然泣いたりしないし」
何だか・・・
もう、最初にだんな様に言われたとき、あたしと子供が離れるはずがないって思ってた自信なんか、今は全くなかった。
「りりかはりりかで、楽しんでればいいじゃん」
あたしは、無言で電話を切った。
いつ帰って来るのか聞くだけに電話したのに。
こんな事、聞きたかったわけじゃないのに。
妹を誘って、出かけた。
妹は、子供の幸せを考えたら、やっぱり向こうの実家だろうね、と言った。
母親は大事だけど、でも経済的とか精神的にも安定しているほうが、絶対に子供たちのためにはなるんだから。
パパ(だんな様)には何もないけど。
りりかちゃんにはHちゃんがいるでしょ?
それにきっと、パパは自分以外の男が、自分の変わりに子供を育てるのが、いやなんじゃないかなぁ。
私だって、ライラたちに会えなくなるのはいやだし。
悲しいけど。
でも、子供たちにとって何が一番いいのか考えたら、やっぱりパパの元にいることじゃないのかな。
て言うかね。
選択肢なんかないんだよ。
どんなに頑張ったところで、子供たちはパパの所がいいに決まっているし。
そりゃ、ママと一緒にいたいって言うかもしれないけど。
でも、先の事考えたら、絶対に子供たちはパパと一緒の方がいいんだから。
りりかちゃん、全部が自分の思い通りにならないんだよ。
自分で出した結論なんだよ。
私言ったよね?もう、迷わないでねって言ったよね?
あの時、りりかちゃんはHちゃんを取ったんだよ。
子供たちの幸せより、Hちゃんを取ったんだよ。
だから、今更迷わないで。
あの時からりりかちゃんは。
子供を捨てたんだよ。
あたしは、違うといい続けた。
違う。
あたしは、子供たちと一緒にいたいって気持ちはずっとあったんだ。
今だってある。
あのときの選択は、だんな様かあいつかって言う事だけだったから。
「でもね、結局子供たちの幸せよりも、Hちゃんと自分だけの事を考えたんだよ。子供たちが一番幸せにいるためには、あのときりりかちゃんが我慢して、パパと一緒にいたらよかったんだよ」
そうだった。
あたしは、自分だけの幸せのために、あいつを選んだんだ。
そうだった・・・
「私には子供がいなかったから、分からないけど。でも、今りりかちゃんが子供たちの事を本当に考えてて、出来る事は。子供たちをパパに渡すことなんじゃないかなぁ?」
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