march forward.
りりかの独り言。

2002年09月24日(火) こんなときに

夕方、あいつが実家から帰ってきた。

あたしからいきなり会いに行った。

「子供たちは?実家?」

あいつは、あたしの実家に子供たちが行っていると思っている。

あたしは「うん、実家」と答えた。

だんな様の、実家。とは言わなかった。

突っ込まれるのがいやだったから。

なんで、だんな様の実家に行ってるの?って。

ただ単に、遊びに行ったんだよ、って答えれば済む話なのに。

なんとなく、あたしは言わなかった。




あいつの親御さんの話を、いろいろ聞いた。

とにかく、考えを崩さないあいつに、驚いてたと言ってた。

あいつは、やっぱりこっちで就職する、と言った。

あたしは、だめだよ、と言った。



「なんで?」

「縁、切られちゃうよ」

「分かってくれないなら、仕方ないよ、それも」

「嫌。絶対に嫌」

「何で?一緒にいたくないの?」



そんな事あるはずもない。

いつだって一緒にいたい。

でも、あたしも親だから。

一生懸命育ててきた子供が、自分の手から離れて行くの。

やっぱり、辛いと思うから。

しかも、こんな形で。




「納得してもらってなら、いいの?」

「そうだね」

「そっか。説得する。絶対」






こんな風に、話しているときも。

あたしは、実は子供の事がかなり気になっていた。

どうしよう。

子供たちがだんな様のほうに行っちゃったら。

そう考えると、いきなり不安が襲ってきたりする。

あたしを選んでくれる。

そう思い続けてきた自信が、揺らぐ。




「いっぱい、ぎゅーしてほしい」

「不安なの?」

「うん」



不安なのは。

子供たちの事を考えて、なんだけど。

あたしは、やっぱりずるいから。

利用してしまう。

この人の優しさに、甘えて甘えて。

甘え続けてしまう。




一瞬の気休めでもいいから。

あたしの中の不安を消して欲しい。




あたしは、そう思った。

だから、あたしから言ったんだ。




「抱いて欲しい」






それは、抱きしめて欲しい。と言う意味ではなく。

セックスをして欲しいと言う意味であって。





あいつは、さっきよりも強く抱きしめて来て。

まさか、あたしからそんな事を言うはずないと言うのもあるんだろうけど。


だからあたしはもう一度言った。



「違うよ。ぎゅーじゃない。エッチしたいの」


あいつは、驚いてた。

びっくりして、あたしを見た。

あたしは不思議と恥ずかしくなんかなかった。



「出来るか、分からないよ?」

「いいよ、出来なくても」




今は、あたしを感じさせてくれるだけでいいから。

あたしの、一方的な、快楽のためでいいから。




こんなときに。


あたしは、セックスをする。





最低だ。


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