だんな様とライラの誕生日を兼ねて、ドライブに行くことになった。
だんな様が運転するからって事で、朝早く迎えに来た。
子供たちは、普通に喜んでいた。
余りよくない天気の中、あたしたち家族五人で、車に乗り込んで。
あたしが作って来たお弁当を車の中で食べて。
普通に、会話して。
楽しい?
うん、楽しい!
あたしが聞いて、子供たちが答える。
普通の事。
今までは、普通だった事。
そう言うのが、全部なくなって。
これからは、あたしと子供たち3人でやって行く。
あたしと、子供たちと一緒に。
帰りの車の中で。
子供たちはみんな熟睡。
おいしいもの食べて、あちこち見て、温泉も入ったもんね。
そりゃ、疲れたよね。
あたしも、何だか眠たくなってきたなぁ。
・・・って、助手席でうとうとしてたとき。
だんな様が言い出した。
「子供さ。俺が引き取りたい」
あたしは、眠くてうとうとしてたから、最初は意味が分からなかった。
で、聞き返した。
そしたら、もう一度。
「子供。俺が引き取りたいんだよ」
あたしは、目が点になった。
何を今更???
「俺は次男だけど。兄貴は結婚してないだろ。いつ結婚するかも分からないし。俺だって再婚する気もないし。親も、子供連れて来いって言うんだよ」
「それって、自分ちの跡継ぎがいなくなるから?」
「違うだろ」
だって、今まで、だんな様の親は自ら子供たちに何かしてくれた事がなかった。
誕生日に電話の一本もよこさなかった。
あたしを嫌っているから。
だからなんだって思ってた。
それなのに、今更子供たちを引き取りたいと言う向こうの親は・・・
あたしには信じられなかった。
だんな様は違うって言うけど、絶対に向こうの家の跡継ぎが欲しいだけ。
そんな人間に子供を渡す?
で、もしもお兄さんが結婚して、子供が生まれたら、ライラたちは用済みなわけ???
「絶対に嫌」
「何でだよ」
「いやだから。あたしの子供だから」
何回も同じ事のいい合いになったとき、だんな様が行った。
「でも、裁判とかしたら、親権は俺になるらしいじゃん」
だんな様がこんな事言うはずない。
自分で調べたりするはずがない。
絶対に誰かに吹き込まれている。
あたしがいやだって言うのを見越して、裁判とかそう言う事があればこっちが強いって事を、言えって、誰かに言われてる。
それは、きっと向こうのお母さんだ。
「親権がどうのとか。そんなのよりも、子供たちに聞いて見たら?」
あたしには自信がある。
子供たちが、あたしを絶対に選ぶ自信があるんだ。
そう言う事を知っているからか。
だんな様は嫌な顔した。
「まだ小さいし、分かってないだろ。小さいうちは母親の方がいいだろ」
「そうかもしれないけど、あたしは嫌。子供たちはモノじゃないんだから。裁判でどっちに行かせるか決めるとか、おかしいよ」
結局、うやむやになった。
明日子供たちに話そうっていう事になった。
子供たちとあたしが離れる???
無理でしょ。
無理に決まってるじゃん!
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