昼間は母が、子供たちを連れて来てくれた。
こんなことになるんだったら、あんたも一緒にうちに連れてくればよかったよ、と言われる。
「一体、何があったの?」
母が、聞いて来た。
あたしは全部話した。
本当に好きな人が出来た事。
だんな様よりも好きになってしまった事。
でも、だんな様にばれて、別れる事になった事。
そして、苦しいって事。
「甘ったれるな」
母が言った。
「そんなんで、どうするの?あんたがその彼より、パパ(だんな様)を取ったのは、子供のためとか言うけど、私には甘ったれているようにしか見えないね。それで、今度は拒食症?いい加減にしなさいよ!子供たちだって、みてるんだよ。分かってるんだから」
その後もいろいろ怒られて。
そして言われた。
「ママが悲しい顔とか寂しい顔ばかりしてる。前みたいに笑ったりしないんだよって言ってたよ。パパと余り仲がよくないから、って」
そっか、子供にも気づかれちゃうなんて、あたしは母親失格だなぁって思った。
「今朝、パパから電話来たんだよ。それで、りりかと離婚するって、すいませんって言ってたよ。あんたから今聞いた話も、パパから聞いてたよ。でも、責めないでくださいねって言われたよ。あんたはまったく・・・・」
・・・。
あたしは、昨日のだんな様の言葉の意味がやっと分かった。
「ママとパパ、お別れするって言ったら、どうする?」
長女と次女に聞いた。
2人とも、顔を見合わせて、そして、長女が言った。
「私は、笑ってるママと一緒にいたい。ずっと」
次女は泣きそうな顔で、うなずいて、あたしに抱きついて来た。
あたしは泣いて。
「ごめんね」
を繰り返して。
ライラだけ、意味が分からず。
ゲームボーイしながら、ポカーンとあたしたちを見てた。
夕方、だんな様が来た。
いっぱい話した。
いっぱい謝った。
いっぱい謝られた。
「離婚しても。あいつら(子供たち)の親は俺たちなんだし。たまには5人で出かけたりもしよう」
だんな様が帰ってから。
病院の屋上に出た。
あたしは、携帯のメールをチェックした。
職場の人から何通も来てた。
みんな、心配してくれている。
ありがたいって、思った。
メールを読みながら、ふと遠くを見たら。
どこかで花火大会がやってた。
屋上から小さく見えた。
そうだ。
本当なら、今日、あたしもあいつと、花火大会に行くはずだったんだ、と思った。
夏も、もうすぐ終わりなんだな、と思った。
どんどん、季節が過ぎていく。
あたしの周りも、どんどん変わっていく。
今までいっぱい走ってきたあたしは、周りを見る余裕がなかったと思う。
これからどうしようか。
考えた。
でも、どうしたいのか、出てこない。
こうしたい、ああしたいって思いは、いっぱいある。
でも、あせらないで。
考えよう。ひとつずつ。
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