march forward.
りりかの独り言。

2002年08月26日(月) サイレン

仕事は17時で終わった。

本当は明日から熱海に行くはずだった。

子供たちは今日からあたしの実家に泊まる筈だった。

あたしは熱海に行かなくなった、と言っても、子供たちは実家に行きたがり、母が迎えに来てくれた。






あたしは家で一人、ぐったりしてた。

食べないで、もう何日たったんだろう。

そんな事考えてた。

そのまま、あたしはソファーで寝てしまった。





寝ているとき、遠くでサイレンがなってた。救急車の。







目がさめて、気づいたらベットの上だった。

横に、だんな様が座っていた。

「帰ってきたの?」

あたしが言った。

起き上がろうとしたら、頭痛がした。

それに、手に何か引っかかってた。





点滴の管だった。

あたしは、訳が分からず。

見回すと、家じゃないことにやっと気づいた。








「なに?ここ病院?」

あたしはだんな様に聞いた。





あたしは、子供たちを送り出して、そのまま寝てしまった。

そして、帰ってきただんな様が揺り起こしても起きない。

顔色は真っ青。

息はしているけど、全く意識がない状態だったらしい。

たまに目を開けるけど、何を見ているか分からない焦点で、また目を閉じ、だんな様は普通じゃないと思い、救急車を呼んだらしい。




そか、あのサイレンの音は、あたしが乗っている救急車の音だったのか。





真夜中だった。

栄養失調で、もうやばかったらしい。

よく、こんな体で仕事なんか行ってましたね、と医者に言われる。






「ごめんね、いろいろと」

あたしはだんな様に謝った。

だんな様はちょっと笑顔で、「いいよ」って言った。








だんな様がお茶を買って来てくれた。

「お前が起きなきゃ、保険証の場所も分からなくてさ」

笑いながら、言う。

そして、あたしの頭をなでる。

こんな事されたのは、どれくらいぶりだろう。

と、あたしは思う。

不謹慎だけど。

あいつがよしよししてくれている感覚になってしまう。


あたしは、そのままうとうとして。

なんだか、安心して・・・






はっとして目がさめた。


「明日、また来るよ」



もう明け方だった。

1時間以上寝たみたいだった。




帰り際、まただんな様があたしの頭をなでた。

そして、小さい声で。





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て、言った。




確かに言ったんだ。



あたしが、「え?」と聞き返しても、そのまま出て行った。








そのとき、あたしは、まだ意味が分からないままだった。


どういう意味?って思ってた。


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