march forward.
りりかの独り言。

2002年08月16日(金) あいつとだんな様

今日は珍しく、朝から夕方までの勤務だった。

帰宅後、だんな様と子供たちと五人で夕飯を取った。

洗濯物をたたんでいると、だんなさまが横に来て、一緒に手伝ってくれた。

2人で洗濯物をたたんでた。

何か言われるかなぁって思ったけど、何も口に出さない、だんな様。

無言で、洗濯物をたたんでいる。



今まで12年間、一緒に洗濯物をたたんだ事があったんだろうか?



こんな些細な事で、あたしはきっと、前なら飛び上がるほど、嬉しかった。

嬉しくて、この人でよかったーなんて、心から思えたんだと思う。



今は。

今のあたしは、嬉しいって言う気持ちより、「なんで?」って思いの方が先。

なんで、あたしと一緒に洗濯物なんかたたんでいるの?



「あたし、考える時間とか、作ったらだめかな」

「考える時間?」

「うん・・・あたし、やっぱり別れられないんだ。今まで、たった半年ちょっとだけどね。あたしの中では、本当に支えてくれてた人なんだよ。あたしが辛いときとか、悲しいときとか、本当に一番に考えてくれてた人なんだ。だから、ばれました、はい別れます、なんていう風に考えられない。ごめん・・・捨てていいよ、こんな女」

「捨てないよ・・・」

「ごめんなさい・・・」

「それって、俺と絶対に別れる、別れたいって考えているって事じゃないって事でしょ?」

「ん・・・そうなのかな。今は、子供の事、考えちゃうと、あたしの気持ちばかり、突っ走れない」

「それでもいいよ」




子供たちは、パパが好き。

ライラなんか特に、パパ大好き。

パパの背中にまとわりついて、「あつっくるしいー」とか言われて、くすぐられて、きゃっきゃ言ってる。

そう言う光景見ちゃうと、あたしだめ・・・

あたしは何しているんだ!!って、自分に怒りがわいてくる。

なのに。

なのに、あたしは、だんな様にあいつと別れられない。なんていう。

だんな様は、納得はしていない。もちろん。

でも、妥協してくれている。



「それでもいいよ」


奥さんが他の男と付き合っている。

しかも、その男の事、支えてくれる人だから、別れたくない。


なんていわれても、こんな事言える。

言わせているのかもしれない。

あたしは心のどっかで、だんな様が妥協する事、分かっていたのかもしれない。




「でもね、りりか」


だんな様が言葉を続ける。



「俺だって、プライドが無いわけじゃない。相手の男にあわせろ」



あたしは固まった。

そんな事言うと思わなかったから。


「会って・・・どうするの?」




「会って。話がしたい。りりかが、そこまで考える人間なんでしょ。どんなのか、会って見たい」

「・・・うん」




さっき、メールしました。

今度は嘘じゃない。

本当に。

「だんな様が君に会いたいって」



笑って、「嘘だよーごめん」って、今回は言えない。




「分かりました。いつでも、だんなさんの都合のいい日に」



あいつ、今どう思っているんだろう。

やばい事に巻き込まれちゃったなぁって思っているのかなぁ。

めちゃめちゃ、怖いんだろうなぁ。

出来る事なら、避けて通りたいもんね。

こんなはずじゃ無かったって、思っているのかなぁ。


ごめんね。

あたしが、君の手を掴んだばかりに。

あたしは、君が差し出した手を、見て見ぬ振りしなきゃいけなかったのに。


でも。

もしかしたら、君が手を差し伸べるように仕向けたのかもしれない。

あたしが。

知らぬ間に。


ごめんね。






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