仕事が、23時に終わって、メールチェックしたら、あいつから来ていました。
「お疲れさまー。22時に変わりの人が来てくれたので、早退出来ました。家で待っています。今掃除しています」
笑顔のマークがいっぱい並んでた。
あたしは、笑顔なんかじゃない。
でも、嬉しかった。
「ほんと?じゃ、今から行くね」
駐車場に入ると、あいつが待ってた。
それで、いきなり抱きしめて来て。
「ごめんね。寂しい思いさせちゃって、本当にごめんね」
いっぱい、謝ってきた。
あたしは、やっぱり、笑顔なんかでないまま、無言だった。
もしも。
こんな事で早退させて、首になったりしたら、どうしよう。
そんなこと、考えていた。
あたしのわがままで。
あたしが勝手な事ばっかり言って。
部屋に行ってからも、何度も謝られた。
「何回も、約束破って、そのたびにりりかさんは、バイトだから仕方ないね、頑張ってねって言ってくれたじゃん?」
「うん」
「頑張ってねって言葉に、甘えちゃってた。頑張ればおでかけしたときのりりかさんの笑顔が見れるんだし、頑張ろうって。でも、もし、俺が同じ事されたら、絶対に怒って文句言うと思うんだ」
「だねー」
「うん、仕事入っちゃったから、今日は無理だわ、とかって、何回も続けて言われたら、てか、一回目でも文句言うと思う。頑張ってなんて、絶対に言えない」
「うん」
「やっぱり、りりかさんは、大人だなぁってちょっと思った」
「ちょっとってなんだよ!」
「(笑)普段はそんな感じしないんだけどって事」
あたしは、大人なんかじゃありません。
5歳も下の君を振り回して、大人なんて言えません。
ほんと、ごめん。わがままで。
大人なんだったら、もっと我慢しなきゃ。って思うし。
あたしだけを見て!なんて、言ったらいけないし。
だいたい、自分が出来ないこと、人に言うなんて間違っているし。
いっぱい。
ぎゅーした。
ぎゅーしてもらった。
あたしは、元気になった。
あいつも、嬉しそうだった。
で、ぎゅーしながら、あいつが言った。
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