「バイト、終わりました。これから帰宅します」
明け方、届いたメール。
あたしは、返事を返せないままでいる。
「言いたい事、思っている事、溜めないで言うんじゃなかったの?そう言う関係であり続けたかったんじゃなかったの?素直に自分の気持ち、言ったらいいのに」
て、メールいただいて。
同じような事を、妹にも言われて。
あたしは、言わないでも分かってくれてた、あいつに甘えてて。
今回も、あたしが何も言わないでもなんかあったな、って今まで見たいに気づいて欲しかった。
たぶん、今は新しく始めたバイトで、頭がいっぱいなんだと思う。
それを、あたしは咎めちゃ行けないって分かっている。
一度はやって見たかったんだ、カクテル作る仕事。
趣味のカクテル作りで、金もらえたら、最高じゃん?
面接に行く前、言ってたっけ。
あたしも、「受かるといいね」って言ったんだ。
それで、合格って電話来たよって、喜んでいるあいつ見て、あたしだって喜んで。
よかったねー、って。
ただ、あたしが活動できる時間と同じ時間があいつのバイト時間になり。
週に6日間のバイトで。
その辺から、すれ違いだした。
最初の2回、約束がだめになって。
仕方ないよね・・・って思った。
3回目、・・・また?って思ったけど、口には出さず。
で、今日。
もう、月曜にいろいろあって、どうしても会いたかったって言う気持ちは薄くなってた。
今まであたしが変だなって気づいてくれてたあいつが、今はいないって事に悲しいだけで。
こんな、もやもやな気持ちのまま、仕事なんか出来るかなぁ。
お客様の前で、笑顔なんか出せるんだろうか?
そんな気持ちで職場に向かう。
職場について、あいつから電話が来た。
「どーしたん?メールも返事こないし。今日は、ホントごめんね。でも、もしかしたら代わりが見つかるかもしれないから、今連絡待ちなんだよ」
あたしは、泣き出した。
声を押し殺して。
泣いているって悟られないように。
職場の人間に。
あいつに。
「あたしね・・・」
「何?」
「あたし、今まであたしがおかしいって一番に気づいてくれてた君がね。いなくなってしまった感覚なんだ」
「え?」
「月曜に、いろいろあって。どうしても水曜日に会いたくて。火曜に電話したじゃん?そのとき、それだけ?とか言われたじゃん?なんか、もう崩れてしまったような感じだった」
「あ、あれは。眠くて、寝ぼけてたって言うのもあったし・・・」
「だから、凄く悲しくなった。もしかしたら、あたしが会えなくて寂しいとか悲しいとか言うこと、嬉しくてわざとやっているの?とか、思っちゃったよ」
「わざとなわけないじゃん。俺だって会えないから寂しいのに」
「趣味をバイトに出来たって、喜んでいたのも知っている。わかってるの。でも、見てる?あたしを、見てるの?」
「・・・」
「あたしが変だって、今までなら気づいたよね。今は、見てないから気づかないよね」
「ごめん」
謝るって事は、そか、見てなかったんだ。
「来月に行く旅行とか。あと、お盆休み中にいろいろ出かけようって思って。そのために稼がなきゃって、躍起になってた。で、今のりりかさんが見えて無かった。お出かけしたときの、楽しそうなりりかさんばっかり、想像しちゃって」
「先の楽しみより。今の事の方が大事だよ。だって、それで、別れる事になったら、本末転倒じゃないの?」
「うん・・・」
「もう切るね。仕事中だから。あたし・・・」
気持ち、言っちゃった。
心は軽くなったけど、なんだか、引っかかった。
それは、いつもあいつがあたしを見てくれているように、あたしは見て無いから。
自分は、見て欲しいのに。
あたしは見て無くて。
寄りかかりすぎちゃってて。
寄りかからせる事は、あまりしてなかったから。
だから、引っかかった。
言っちゃって、よかったのか。
凄く、引っかかったんだ。
切る前に言った言葉。
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