march forward.
りりかの独り言。

2002年07月07日(日) 暗い空の下で。

七夕。

星を見よう。


あいつから、誘われて。

夕飯を食べてから、公園へ出かけた。


昨日の事。

お互いに口に出さなかった。出せなかったのかもしれない。

恥ずかしいって言う気持ちのあいつと。

重い空気になりたくないって言う気持ちのあたしと。


口に出せない理由は、ずれているんだけど。



「りりかさん、明日から仕事休み無しだね」

「うん、あ、でも火曜日は病院の日だから休みだよ」

「そか、明日も会える?じゃあ」

「うーん、病院朝一なの。だから、辛くなるから・・無理かな」

「そうだね。俺は、明日面接です」

「バイト?」

「就職の」



平日はほとんど、面接と説明会。

大変だなぁっておもう。

でも、みんなやる事なんだろうけど。


「あの。友達の話し、聞きたくない?」

「・・・うん、聞くよ」



車の中。逃げ場もない。

あたしは、真っ直ぐ前だけ見てた。

なんとなく、顔見るの、怖かったから。表情から、何言われたか、想像出来そうで。



「びっくりされました。一緒になりたい人がいる、こう言う人なんだって話したら」

「そりゃ、そうでしょ。バカだねーって言われた?」

「そんな事言われなかったけど。でも、お前は責任感あるからなぁって言われました」

「責任感?」

「はい」



責任感?


責任感があるから、何?


あたしは、ついつい声を荒げてしまう。

「あのさー!」

「は?」


いらいらいらいら・・・・

「君は、一体何の事に責任を感じているの?責任感があるから何?関係なくねー?結婚したりして、一緒になってから、責任感が出てくるのはいいけど、責任感で、一緒になりたいなんて言うのは、変じゃない?あたしは、君に責任を取って欲しいなんて、毎回言うけど、思ってないし、そんなんじゃね、万一一緒になったとしても、責任感で一緒になったんだよなーって後後思ったりするわけよ。だからね、責任感からそう思っているのなら、辞めてください。求めてません。そんな事は!」


はー・・・言っちゃった。言っちゃった。

すっきりしたけど、重いなぁ。空気。



「変?どこが?どこ?責任があるから一緒になるって事が変だとは思わない。それに、責任だけで一緒になるなんて一言も言ってないし、それは友達の意見だし、責任より何より、一緒にいたいっていうのが一番なんですけど?」

「でも、責任って言う気持ちもあるわけでしょ?一体なんで?君に何の責任があるの?うちはもうだめだったんだよ、元から。君がどうのこうのじゃないの!」

「ああ、そうじゃないですね。俺が言う責任感は、りりかさんと子供たちを養って行こうって言う責任感ですね。ちゃんと、養っていくぞって言う」



運転しながら、あいつは、あたしの頭を引き寄せる。

よしよしする。

頬をなでて、髪を指ですく。



「だからね。『万一』一緒になったら、なんて言わないでください。万一じゃないですよ。絶対なんだから、俺の中では」





天の川は、残念ながら、雲が多くて見えなかった。

空を見上げてたら。

吸い込まれて行きそうな感覚になった。

ていうか。

このまんま、吸い込まれて行きたいと思った。

怖いけど、なるようになれ、とも思った。




何もない、何も考えない。

真っ暗な空には、安心感がある。

夜の海のように、何もかも、なかったような、存在しないような。

何もかも、受け入れてくれる。そんな安心感がある。

でも、怖い。

凄く怖い。どうなるのか判らないから、怖い。




あたしは、この先、どうなるんだろう。

見えない。

あいつは、受け入れてくれる。

抱きしめて、安心感を与えてくれるだろう。

心配すること無いんだよ?って言ってくれるんだろう。

ただ。

あたしには飛び込む勇気がないだけ。


真っ暗な、空の中へ、海の中へ。

飛び込む勇気がないのと、同じで。

その先が、見えない不安で、分からない事だらけで、進めない。




ただ、分かる事は。






(↑投票ボタン。よかったら押してください。メッセージが変わります。)



たくさんのものをもらった。

それは、優しさだったり。

それは、勇気だったり。

それは。

それは、苦しむ事だったり。辛い事だったり。



あたしは、何をあげたんだろう。

あたしは、あなたに、何をあげられた?あたしから得るものはあった?



きっと、奪うこと、ばかりだね。



君の、自由や。



君の、人生を。


 < back  INDEX  next>


りりか [MAIL]

My追加
エンピツ