何事もなかったように、過ぎて行く。
あの、だんな様との話し合いから1週間経った。
何もなかったようだ。家の中は。
だんな様はめずらしく、一番下の長男を連れて、仕事に行った。
「今日行く依頼主のお宅にね、ライラ(長男のあだ名)くらいの子供がいるんだよ。だから、連れてきて一緒に遊ばせたら?って言われてね」
「そう。平気?」
「平気だよ。ライラ、いないほうがビーズもはかどるでしょ。俺にも携帯のストラップ作ってよ」
「あ・・・うん・・・」
「でさ、来月の半ば、大きい仕事が入ってるの。それで、2日で20万だよ、儲け。その金で、来月の伊豆の旅行、豪遊しようよ」
伊豆には結局うちだけじゃなく、あたしの叔母家族も行くんだし、まだ何も話していないし、勝手にキャンセルするのもどうかという事になり、行くんだけど・・・
「・・・・別に豪遊しなくても・・・だって・・・」
「まぁ、いいや。そういうこと」
あたしの話をさえぎるように、出て行く。
だって・・・の続きを知っているから。聞きたくないから。
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